ゴジラ4‐守護神の祈り‐
一方、土佐湾沖に津波を起こしながら水柱が立ち、中から黒い怪獣・ゴジラが出現した。
ディガアアアアアアオン・・・
ゴジラはすぐ安田市近郊の砂浜に上陸すると、逃げる観光客達も目に暮れず、何処かへ向かって行った。
「ええっ・・・!?」
そして近くの町、安芸市の民家でそのニュースを見て一際驚いている1人の少女がいた。
そう、5ヶ月前に志真と行動した少女、妃羽菜遥だ。
彼女は敬老の日・国民の休日・秋分の日が上手く重なったこの連休を利用し、高知県にある親戚の家に来ていたのだ。
「なんで・・・ゴジラがこんな近くに・・・?」
しばらく居間のテレビに釘付けになっていた遥だったが、すぐ台所にいる祖母の佳奈他の元に行った。
「おばあちゃん!高知県の安田市にゴジラが!」
「まぁ、それは本当なのかい?」
「今ニュースでやってたの!ちょっと来て!」
そう言うと遥は焦りながらまた居間へ戻った。
佳奈他も作業を止めると遥の後を追って居間に向かい、テレビに流れるニュースを見る。
「ほらね?」
「あらまぁ、これは驚きだねぇ・・・」
「ゴジラはなんで四国に来たのかな?まだ怪獣は出て来てないと思うけど・・・」
「・・・んっ?もしかして、ゴジラは何かを探しに来たんじゃないかい?」
「えっ、そうなの?」
「あたしの直感だけどね。」
「でもおばあちゃんの勘はよく当たるから、きっとそうなのかな。・・・そう考えるとゴジラ、何だかきょろきょろしてる・・・」
2人の言う通り、テレビに映るゴジラはまるで何かを探すかの様に、辺りをしきりに見渡していたのだ。
「まぁゴジラは悪い怪獣じゃ無いんだし、きっと何もしないさ。」
佳奈他は慌てずにそう言うと、再び台所へ戻って行った。
「そうだよね・・・けど、ならゴジラは何を探してるんだろう・・・?」
クィキウィィン・・・
すると、小さなモスラは触角を上下に揺らした。
それに呼応する様に遥のペンダントが緑色に光る。
「・・・その姿、『フェアリーモスラ』って言うのね・・・」
クィキウィィン・・・
「貴方は何故、ここに来たの?・・・そう、なにかの気配を感じて・・・それで私は甚吉森に行けばいいのね・・・」
遥はペンダントを介しモスラと意識疎通を行う。
両者はしばらく会話した後、ペンダントの光は消えた。
「・・・分かった。じゃあ行きましょう。でも、ちょっと待っててね。」
そう言うと遥はモスラを残し、玄関の戸を開けた。
「おばあちゃーん!ちょっと近くの森に出かけて来ていいー!」
「いいけど、気を付けて行って来るんだよー!」
「はーい!それじゃあ行ってきまーす!」
遥は静かに戸を閉め、モスラと共に家を去って行った。
「ふふっ。妖精さんと、気を付けて行って来るんだよ・・・」
と、その時家の外から何かの鳴き声がした。
声を聞いた遥は縁側に置かれたスリッパを履いて外に出ると、辺りを見渡す。
そして左を向いた遥は、何やら大きな蝶と目が合った。
「わあっ!?」
遥は驚きのあまり尻もちを付いてしまうが、緑色の体に長い触角、どこか人形を思わせる風貌をしたその蝶に見覚えがあった。
「もしかして・・・貴方はモスラ?」
服に付いた砂を払って起き上がった遥の問いかけに、蝶は頭を縦に振る。
「会いに来てくれたの?わぁ、可愛い・・・」