ゴジラ4‐守護神の祈り‐











翌日、馬路市の研究所を志真が訪れていた。
彼はいつも通り、デスクの指示で昨日の爆発事件の調査に向かわされたのだ。
志真の隣では若い研究員が志真に説明をしている。



「しかし、これは悲惨ですね・・・」
「ええ。もう予想外の爆発でして、火の処理が大変でした。」
「本当にご苦労様です。ところで、なぜ爆発は起こったのですか?」
「それはですね、ここは最新鋭のハイテク機器を使用し、最先端の研究を行っていました。しかしただ一つ、その機器には弱点があったんです。」
「弱点・・・とは?」
「ある一定の電磁波に弱いんです。それで昨日、その電磁波がこの辺りに突如大量発生したそうで・・・」
「成程・・・」



「それ以上に気掛かりなのは、ここで育てられていた子ゴジラですが・・・」
「子ゴジラ!?何処かの研究所で研究されていたと聞きましたが、まさかここだったとは・・・」



四ヶ月前、ゴジラは米軍の故・ブリュー特別大佐が発射した水爆をその身に浴び、巨大・凶悪化した。
かろうじてモスラが事態を収拾したが、これによってゴジラはいつ世界を滅ぼしてしまうか分からない存在となってしまった。
そこでそのゴジラの精神を安定化させる計画が考案され、最終的に「ゴジラの子供を人口的に産み出し、同族への母性・父性愛でゴジラの精神を安定させる」という案が採用された。
そして日本の何処かの研究所にて、子供のゴジラを生み出す研究が進んでいたのだ。



――まぁ、俺は乗る気はしないけどな・・・
どんな理由を付けようが、結局はまた人間のエゴ・・・


「志真さん?」
「あっ、すみません。電磁波が起こった原因に付いて考え事を。」
「そうなんですよね。何故突然あそこまで強力な電磁波がここで起こったのか・・・子ゴジラの事も気掛かりですし・・・あっ、そうそう、その為に貴方をここに呼んだのでした!」



研究員は突如表情を一変させると、志真の両肩を強く掴んだ。



「えっ、それは一体どう・・・」
「今まで怪獣に対する事件を続々と解決している貴方なら、今回の事件も解決できるかと思いまして。確か、貴方の部所のデスクの人がそう言っていました。」


――デスク、わざとこの事隠しやがったな・・・


「お願い・・・出来ますでしょうか?」






そして2時間後、志真は甚吉森の前にいた。



「結局断れない人間だよな、俺・・・はぁ。」



志真は肩を落としながら森の中に入って行った。
森の中は日光が木々で隠れて薄暗く、視界は少し悪い。



「そういえばインファント島に行った時もこんな感じだったな。あの時は変な虫がうじゃうじゃいたけど・・・」



志真は森の中をどんどん歩いて行く。
しかしいくら歩いても森の中に子ゴジラの気配は無く、時間と体力だけが無駄に浪費されていく。



「あれ・・・何十mもでかいやつが歩いてるならもうとっくに見付かる筈だよな・・・ってか、ここどこ?」



志真はリュックから地図を取りだし、自分の位置を確認しようとした。
が、志真は今まで一体どうやって歩いてきたのかすら分からない事に気付いた。



「もしかして俺・・・迷った?」
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