ゴジラ4‐守護神の祈り‐
その頃、インファント島では瞬が内に秘めた思いを小美人に語っていた。
「俺は、日本と言う国に失望した。今まであそこまでかの国に甘く見られ、桜島での大失態が無ければ抵抗する事すら出来ないような国を守るため、必死になっていたのか・・・と。そしてそんな国に操られる自衛隊よりも、同じ『怪獣』のモスラにゴジラを倒してもらおうと考えた。」
『そうですか・・・しかし、その願いは叶わないと思います。』
『モスラはゴジラに悪意は無いと言っていました。それに決断を下すのは、モスラ自身です。』
「いや、怪獣の存在は悪意の問題では無い。その存在が、俺達の平和を乱す。」
『『・・・』』
「わかった。ひとまず俺はここを去ろう。だが極力早めに結論を付けておいてくれ。」
『『・・・わかりました。』』
瞬は振り返り、広場を去ろうとした。
だが小美人は瞬を呼び止めた。
『『待って下さい。』』
「何だ。」
『『貴方は「絶望の一夜」伝説を知っていますか?』』
――・・・昔、聞いた事がある。
一万二千年の昔、古代人の過ちに怒った神が遣わせた大怪獣の凄まじい力により、一夜で二つの文明が滅んだ・・・という内容だったか?
『もし人々の、時代の流れが狂ってしまうならば、再びその悲劇が起こってしまうかもしれません・・・』
『だから貴方も、怪獣達にも思いが・・・心がある事を分かってあげて下さい。』
「・・・考えておく。」
そう言うと、瞬は静かに島を去って行った。
一方、高知県・馬路市の郊外の研究所が突然爆発を起こした。
郊外に轟音が響く中、研究所から一つの大きな影が出てきた。
ギュオオオオン・・・
影は辺りをきょろきょろと伺うと、けたたましい足音を立てながら近くの森、甚吉森の方向へ走って行った。