ゴジラ3‐天空の覇者ラドン‐




志真と遥はどっと疲れが押し寄せたのか、椅子に倒れ込んだ。



「はぁ・・・ほんと、疲れたなぁ・・・」
「そうですね・・・」
「瞬、ついでだから俺達の事送ってけよ。」
「馬鹿な事を言うな。俺をタクシーだとでも思っているのか?」
「そんな贅沢言うなよ。それとも、お前は救助者を街に置いてくのか?」
「・・・とりあえず、その子の所には向かおう・・・遥、だったか?」
「はい。妃羽菜遥です。」
「妃羽菜・・・か。何処から来た?」
「京都から・・・あっ、おばあちゃんからお金は貰っていますので、一応自分で帰れます・・・なのでわざわざ、送って頂かなくても・・・」
「いや、未成年がこんな時間に1人でいるのは危険だ。送って行こう。」
「おっ!お前もやる時はやるじゃんか!」
「瞬・・・さん。ありがとうございます。」
「・・・気にするな。お前にも、悪い事をしてしまったからな。」
「じゃあ、次は東京だな。行き先は同じだろ?」
「何を言っている。お前も京都で降ろすに決まっているだろう。」
「何だよお前、ひいきすんなよ!」
「ジャーナリストのお前の事だ、別に1人でも帰れるだろう?そんな相手に無駄な労働など、したくは無いからな。」
「・・・お前、ほんといい性格してやがるぜ・・・!」


――・・・くすっ。
志真さんもだけど、瞬さんも面白い人なんだね。



瞬の戦闘機は朝焼けに照らされ、京都へと向かった。










翌日、結局京都から1人で東京に帰った志真は、日東新聞本社で記事を書いていた。



「・・・ふう。ちょっと一休みっと・・・」



志真は記事を書くのを止め、隣の机の新聞を取って読み始める。



「『対G条約』廃止、米軍全面裁判、アメリカ超大国失墜?・・・へっ、ざまぁみろ!」
「おい志真、記事はどうだ?」
「あっ、デスク。はい、記事は順調ですよ。」
「そうか。それは期待しているぞ・・・」



デスクはここ数日の志真への怒りをその背中だけで語り、机に戻った。



――・・・何か、殺気を感じた気が・・・
とりあえず書こ書こ・・・



志真は新聞を置き、急いで記事を書こうとする。
だがふと、窓から見えた青空を見た志真の頭にラドンの姿がよぎった。



――・・・そういえばラドン、元気にしてるかな。
・・・ちょっと、会いに行くか。



志真は机を立って部屋を出ようとしたが、すぐにデスクが志真を呼び止める。



「志真!どこへ行く!」
「ちょっと潤さんに会って来ま~す!」



そう言い訳し、志真は急いで部屋を去った。



「待て!そんな事は分かって・・・志真ぁ!また帰って来てみろ、課題をたんまり出してやるからな!覚えろぉ!」



志真の机にあった記事、それはインファント島に関しての記事だった。
もちろんそこには小美人や遥の名は一切書かれておらず、島の「守護神」の事だけが書かれていた。



『南海の孤島と大阪とゴジラを守りし「守護神」、その名はモスラ!』



そしてその隣に置かれたメモには、次に書く予定である記事のタイトルが書かれていた。






『天空の覇者、ラドンは今いずこ?』



第三章・完
35/35ページ
スキ