ゴジラ3‐天空の覇者ラドン‐
「ゴジラが水爆を受け止めた事で爆発を抑えられ、まだこれだけの被害で済んでいるが、この周囲は確実に被爆している。決して戦闘機から出るな。」
「分かりました。」
「戦闘機は、再起動できそうか?」
「・・・何とか出来るかもしれない。」
瞬は慎重に、ゆっくりとレバーを引く。
するとエンジンが静かな音を立て、起動した。
「とりあえず、動いたか・・・」
戦闘機は低速で飛び立ち、街の中央へ飛んだ。
辺りは煙に包まれ、もはや何も見えない状況だ。
「煙が、街中に充満してる・・・」
「1945年、原子爆弾が落とされた広島と長崎もこんな有り様だったのか・・・」
「ゴジラとラドンの姿は、見当たりませんね・・・」
「辺りが煙だらけだからな・・・あっ、あれは!」
志真が指差したのは、煙の先の地面だった。
なんと今まで瓦礫の間で燃えていた火が勝手に動めき、一人でに一つの所へ集まって行っていたのだ。
「これは・・・?」
「・・・ラドンです。」
「えっ?」
その間にも辺りの火は集まり、巨大な炎の塊となっていく。
「ラドンは、既に体を失った命。実体を持っていない以上、何度でも生き返れる・・・」
そして炎の塊は突如形状を変え、紅蓮の不死鳥・クリムゾンラドンが蘇った。
グィドゥウウウウウウン・・・
「これってまさに・・・」
「『不死鳥』・・・」
と、その時同じく郊外へ待避していた部隊の戦闘機が駆け付けて来た。
『瞬隊長、ご無事でしたか!』
「大丈夫だ、俺に構わずすぐに攻撃しろ!ミサイルも使用して構わない!」
『り、了解。』
戦闘機はクリムゾンラドンへミサイル射撃を行う。
しかし炎の集まりであるクリムゾンラドンの体には全く通じず、戦闘機は熱線でいとも簡単に撃破された。
「馬鹿な!部隊がこんなにも・・・!」
「瞬さん、ラドンが!」
クリムゾンラドンは唯一残った瞬の戦闘機に気付くと、戦闘機を睨み付ける。
「標的にされたか・・・早く逃げなければ!」
「止めろ!ラドン!お前はそんな事をする奴じゃ無い筈だ!」
「目を覚ませ!あそこにいるのは、もうラドンでは無い!」
クリムゾンラドンは羽ばたき、戦闘機に向かおうとする。
「違う!あいつは、あいつは・・・!」
「志真さん・・・」
「見ろ!奴は、確実に俺達を倒そうとしている!それが現実だ!」
「・・・どうにもならないのかよ・・・!俺はこんなの・・・こんなの嫌なんだ!」