ゴジラ3‐天空の覇者ラドン‐




「しばらく前、自衛隊本部にアメリカ軍特別大尉・ブリューが来た。奴はゴジラが日本の所有物と語り、それを盾に『対G条約』の締結を迫った。更に奴はゴジラ駆逐を優先しなければ自軍の水爆でゴジラを攻撃する、と密かに脅迫していた。」
「ゴジラが日本の所有物だと!?ふざけんじゃねぇ!」
「また、奴は桜島内部で密かに核実験を行っていた研究所の監修もしていたようだ。」
「そんな・・・身勝手過ぎます!」
「つまり・・・桜島の、ラドンの異変の全ては奴らが元凶か!」
「そういう事になるな。これらは決して許される事ではない。桜島の内部は凄惨な状態にまで追い込まれ、ラドンという新たなる怪獣までも生み出してしまった・・・」
「そうだ・・・あいつらのエゴで、みんな・・・んっ、お、おい!あれ!」



志真は異様な光を放つ空を指差した。
そう、既に水爆は大阪の上空にまで迫っていたのだ。



「あ、あれは!?」
「遅かったか・・・!」
「・・・くそっ!!俺が、さっさと逃げてれば・・・!」
「志真!文句なら、後でいくらでも言ってやる!だが、絶対に諦めるな!お前らしくもない!」
「そうです!私だって残る決意でしたし、志真さんだけの問題では無いです!」
「瞬、遥ちゃん・・・」
「着弾まで、もう1分も無いか・・・!」


――・・・俺達もだけど、ゴジラは大丈夫なのか?
いくらゴジラでも、水爆を受けたら・・・






一方、ゴジラはクリムゾンラドンと目と鼻の先の距離まで迫っていた。
辺りはクリムゾンラドンの炎に焼き尽くされ、煙だらけだ。



グィドゥウウウウウウン・・・



と、その時クリムゾンラドンが空から迫る水爆に気付いた。
クリムゾンラドンはそれを恐ろしいものであると勘付き、街から飛び去って行く。
ゴジラはクリムゾンラドンを追おうとしたが、ふとゴジラの目に志真の乗り込んだ戦闘機が見えた。



グルルルル・・・



するとゴジラはクリムゾンラドンを追うのを止めたかと思うと、思い切り地面に足を踏みしめ、空を睨んだ。
水爆は、真っ直ぐゴジラへと迫る。



ディガアアアアアアオン・・・



そして、ゴジラは水爆を自らの腕で受け止めた。



「うっ・・・!」
「水爆が・・・爆発した!」



ゴジラが受け止めてもなお、水爆は凄まじい爆風と閃光を起こし、円形状に広がるそれは街を飲み込み、全てを破壊していく。
クリムゾンラドンも爆風からは逃げ切れず、跡形も無く飲まれて行った。
更に爆風は瞬の戦闘機にも迫って来る。



「ば、爆風が!」
「やべぇぞ瞬!」
「これでも精一杯だ・・・!」


――モスラ・・・来て!



遥は思いを込め、ペンダントを握りしめる。
遥にとって、この絶望的な状況を救ってくれるのはモスラしか考えられなかった。



「ぐっ・・・うおおおおおおおっ!!」



瞬は渾身の力でレバーを引いた。
戦闘機は一気にエンジンをふかし、最高速で郊外へ突っ込んで行く。



「・・・!!」



そして爆風は治まり、戦闘機はそのまま凄まじい着地音を立てて郊外に不時着した。



「・・・うっ・・・俺達、何とか生きてるみたい、だな・・・」
「その、ようだ・・・」
「あっ、遥ちゃん、遥ちゃんは!」
「・・・は、はい・・・大丈夫、です・・・」
「よかった・・・しっかし、お前にしちゃ珍しく無茶な事すんなぁ・・・」
「・・・何処かの馬鹿さが移ってしまった、と言う所か。」
「言いたい事ばっかり、言いやがって・・・そういや、ゴジラとラドンは・・・」
「・・・あの爆風だ。もう生きていまい・・・」
「そうか・・・そうだよな・・・」


――ゴジラ・・・
俺達の為に、水爆を受けてくれたんだよな・・・
お前の力になるって言っときながら、最後まで役立たずで、本当にごめんな・・・!
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