ゴジラ3‐天空の覇者ラドン‐
「こちら瞬。只今大阪市近郊に到着。」
一方、水爆が発射された事実を知らぬまま、瞬の航空部隊が大阪市近郊に到着した。
ゴジラを警戒していたクリムゾンラドンは向きを変え、戦闘機を警戒する。
「目測100m以上、凄まじい大きさだな・・・んっ?」
その時、瞬は街をさまよう志真と遥を見つけた。
――あいつ、こんな所で何をしている・・・!
「こちら瞬、街中に逃げ遅れた人を2名発見。先に攻撃を開始しておいてくれ。救助次第、俺も攻撃に加わる。」
『了解、了解。』
戦闘機は三手に分かれ、クリムゾンラドンへ向かって行った。
同じく、水爆が向かっているとは知らない志真と遥は空を眺めている。
「自衛隊の戦闘機か。」
「やはり、ここへ来ましたね・・・」
「桜島の砲撃も、こんな感じだったんだな・・・んっ?」
「どうしました?」
志真は目の前に見える戦闘機を指差した。
「あの戦闘機、こっちに近付いてないか?」
「えっ、まさか・・・」
「いや、なんかでっかくなって行ってる気が・・・」
最初は疑っていた遥も、更に迫る戦闘機を見て納得した。
「ほ、本当ですね・・・」
「だろ?低空飛行でも無さそうだし・・・あっ、着陸するみたい・・・だぜ?」
そう話し合っている間に戦闘機は2人の前に着陸した。
そしてドアが開き、中から瞬が出てきた。
「あっ、貴方は!」
「やはり、お前達か。」
「それはこっちの台詞だ。何しに来やがった。」
「俺はお前達を保護しに来た。ここは戦場だ。」
「お前の世話なんて受けねぇよ。俺達は危険を覚悟でここに来てんだ。」
「意地を張っている場合か!犠牲者を出すわけにはいかないんだ!」
「だったら、あの燃える鳥を見ろ!あれの正体は火口に落ちたラドンの魂、お前らの身勝手が産んだ犠牲者だ!」
「またその話を・・・」
「何だと・・・!」
「志真さん!瞬さん!」
戦場で静かに、だが強く火花を散らす志真と瞬を、遥が止める。
「こんな時にまで、喧嘩しないで下さい!仲良く出来ないんですか!」
「・・・」
「・・・そうだな、遥ちゃん。瞬、やっぱり遥ちゃんは保護してくれ。」
「えっ、志真さんは?」
「分かった。」
「待って下さい!私も残ります!私も覚悟の上でここにいるんです!」
「いや・・・遥ちゃんは帰るんだ。」
「しかし!」
「君には、帰りを待つおばあちゃんがいるだろ?」
「・・・!」
「頼んだぞ。」
「任せろ。」
と、その時コクピットの無線から連絡が入って来た。
瞬はすぐコクピットに戻る。
『こちら本部!大変だ!アメリカの人工衛星から水爆がゴジラに向かって発射された!今すぐ撤退しろ!』
「なっ・・・!?り、了解。」
「す、水爆!?」
「おい、どういう事だよそれ!」
「やはり発射されてしまったか・・・!とにかく乗れ!」
「は、はい!」
「志真、お前もだ!」
「俺はいいから、早く行ってくれ。」
「お前はまだ意地を張ると言うのか!」
「俺には今やらないといけない事があるんだよ!ラドンの魂を救うっていうな!」
「ふざけるな!自分の命も大切に出来ない奴に、魂を救う資格も犠牲者がどうとかと言う資格も、ありはしない!」
単なる志真への怒りとは違う、真剣な眼差しで瞬はそう叫んだ。
その言葉はラドンを救う事で一杯だった志真の心に強く響き、志真に冷静さを取り戻させる。
「・・・すまん。」
「だったら早く乗れ!」
志真と遥は急いで戦闘機に乗り込み、戦闘機は空へ飛び立った。