ゴジラ3‐天空の覇者ラドン‐

「大変です!」



その時、会議場に隊員が入って来た。
数日前、ブリュー達の領海侵犯を許してしまったあの隊員だ。



『おう、見た事あるなと思ったら、久しぶりじゃねーか。』
「どうした。」
「ゴジラが、大阪湾に現れました!」
「何、ゴジラか!」
『いよいよ出番か。いい活躍を期待してるぜ。』
「・・・それからもう一つ、報告すべき重大な事があります!」
「何だ。」
「先程、鹿児島の桜島にて核実験の疑いがあるとして、アメリカ人の科学者達が逮捕されました!」
「な、何だと!?」



あまりに衝撃的なこの事実に、会議場は騒然となる。



「彼らを警察に突きだした二戸辺と言う地元の男性の話によると、どうやら彼らは桜島の山壁に極秘で研究所を構え、そこで人知れず核実験を行っていたようです。」
「それが鳥の出現の影響で姿を現したか。」
「と、言う事は桜島で発生していた謎の煙の正体は・・・」
「放射能漏れだな。あまりにも杜撰(ずさん)過ぎる。」
「そういえば、ラドンは今までプテラノドンの卵が桜島の噴火が原因で突然変異を起こして生まれたと言われていたが、ラドンの誕生も二度もの桜島の噴火も、それが原因だったのでは・・・」
「あと、ゴジラが桜島に現れた事とも関係は否定出来ないな。」
「よし、今すぐ大阪へ自衛隊を出動させよう。」



会議場にアメリカへの反感が高まる中、何故かブリューは異常な程に冷や汗をかき、黙り込んでいる。



「それで、その研究所の責任者は?」
「今の所確保はされていませんが、誰であるかは証言が出ています・・・そう、ブリュー特別大尉、貴方だ!」



隊員は力強くブリューを指差した。
そして隊員達が続々と会議場に入って来る。



「貴様・・・!どこまでもふざけよって!どれだけ日本を馬鹿にしたら気が済むんだ!!」
「確保だ!今すぐ奴を確保しろ!」
『うおああああああああああああッ!!』



その時、ブリューが突然立ち上がったかと思うと、銃を上官達に突きつけた。
反米から一転、パニックに陥る会議場。



「何のつもりだ!早く銃を降ろせ!」
『うるせぇ!てめぇらこそ銃を降ろせ!じゃねぇと撃つぞ!』
「落ち着け、落ち着くんだ!」



上官の言葉も聞かず、ブリューは銃を天井に向け、引き金を引いた。
けたたましい銃声が会議場に響き、パニックは更に掻き立てられる。



『いいからそこを通せ・・・通せェ!!』
「・・・分かった。お前達、ひとまず退くんだ。」



上官の指示に従い、入り口にいた隊員達は扉から離れた。
ブリューは間髪入れずに入り口へ駆け込み、そのまま逃げて行った。



隊員達は急いでブリューの後を追うが、ブリューは隊員達の追手をかいくぐり、本部の外に出た。



『いい加減、しつこいんだよてめぇら!』



ブリューは隊員達に銃を乱射した。
その銃撃に続々と倒れていく隊員達。



「ぐっ・・・!撃ち方、用意!」



上官の一言に、隊員達は一斉に銃を構える。



――・・・仕方ねぇじゃんか。
父さんの、命令なんだよ・・・!



そして隊員達は銃を撃つ・・・が、ブリューは簡単に弾丸をかわし、かすり傷一つ負わせられなかった。



「逃がすな!追え!」



隊員達は銃を撃ちながら再びブリューを追う。
だが、やはり戦いのプロであるブリューを追い込む事は出来ず、遂に東京湾に逃げられてしまった。
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