ゴジラ3‐天空の覇者ラドン‐
また、自衛隊本部にもゴジラ出現の情報が入っていたが、その時本部では謎の鳥への対策会議をしている所だった。
「ゴジラが、紀伊水道に出ただと!?」
「こんな時に・・・」
「対G条約に従うなら、今すぐにも部隊を出動させる事が出来る。」
「しかし、では鳥はどうするのだ!今は鳥への対策を思案しているのだぞ!」
『じゃあさ、先にゴジラを叩いてしまえばいいんじゃね?』
軽い口調でそう言ったのは、ニッキーズの艦長・ブリュー特別大尉だった。
「特別」の名が示す通り瞬同様、彼もまた専用の部隊を持っている身であり、ニッキーズはもはやブリュー専用の戦艦扱いになっている。
「ブリュー特別大尉、君は黙っていろ!」
『はっ?言う通りだろうが。』
「何だと!」
『あんなユウレイみたいな鳥、構う方が無駄だ。それならまだ倒せそうなゴジラを叩く方が効率がいい。だろ?』
「それはそうだが・・・」
「いや、奴の言う事など聞かぬ方がいい!元々奴に干渉する権限など無いんだ!」
「お前達だって、ゴジラを取り逃がした立場である事を忘れたか!口先だけの連中め!」
『お前らと一緒にすんな。いつまで経ってもNPO紛いの事しか出来ねぇ、ノロノロの役立たず集団がよ?』
「貴様・・・父親が軍のトップだからといって調子に乗りよって!」
「そうだ!所詮は親の七光りの男の言う事!」
「今、私達はそんな戯言に構っている場合では無い!」
『あぁそうかい。だったらオレはニッキーズに帰って、「衛星作動ボタン」を押してくるかな。』
そう言うとブリューは立ち上がり、部屋の出入り口に向かう。
「待て、どういう事だ!」
『聞こえねぇのか?「衛星作動ボタン」を押してくるって言ったんだ。』
「衛星!?」
『ニッキーズには米軍が宇宙に打ち上げてる人工衛星「エイルバ」の作動スイッチがある。それを押すって言ってんだ。』
「エ、エイルバ!?」
「それは水爆を宇宙から地上へと打ち出す、人工衛星では無いか!」
『そうだぜ。』
「貴様、『非核三原則』をも破る気か!!」
水爆が発射されると聞き、上官達は騒ぎだす。
しかし、仕掛人のブリューは冷静だ。
『「ヒカクサンゲンソク」?原発に頼ってるクセに被害者面し続けるニッポンにだけある、自分勝手な原則か。』
「自分勝手だと!?どこまでも調子に乗りよって・・・!」
『まぁ話は本当だ。いつでもオレは水爆を発射できる。だがな、オレの言う通りにゴジラを叩くなら黙ってここにいてやるよ。こっちた、あんたらの所持物のゴジラに脅されたんだし・・・よ。』
「ぐっ・・・!!」
『オレ達アメリカが、ニッポンを野蛮な周辺国から守ってやってんだ。それくらいやってくれてもいいんじゃねぇの?』
「いや待て、それよりも『ラゴウ』を出し、鳥を駆逐すれば・・・」
「それは駄目だ!あれは二度と出してはならない禁断の兵器・・・!」
『ラゴウ?まぁいい、どうすんだ?』
「・・・分かった。」
「ほ、本当にいいのか!これは隠蔽だぞ!」
「仕方が無い。もう、水爆の悲劇は生みたくないだろう・・・!」
『おっ、そうこなくちゃな。』
「ただし、水爆をどこに打つ気だったかだけ答えろ。」
『そんなの、当然だろ。「GODZILLA」に向かってな。』
その頃、志真と遥は大阪府・豊中市にいた。
「確かに大阪に行くって言ったけど、デカい鳥が来た影響でこんな所に新幹線が止まるなんてさぁ・・・」
「しかし、鳥とは一体何なのでしょうか?」
「うーん、桜島から出たとしか情報が・・・」
――・・・待てよ、鳥ってまさか・・・!
いや、そんなわけ・・・
「とりあえず、大阪市に行こう。鳥はそこを通るらしいし、行けば何か分かるかも。」
「はい。お願いし・・・って志真さん、何してるんですか!?」
「走って行くわけにもいかないだろ?だからちょっと借りるんだ。大丈夫、全部終わったらここに戻せばいいって!」
「・・・持ち主の方、申し訳ありません・・・」
2人は通路に置かれていた自転車を拝借すると、大阪市へ向かった。