ゴジラ3‐天空の覇者ラドン‐












翌朝、桜島の残存部隊は自衛隊本部に帰って来ていた。
本部内の食堂では号外を片手に隊員達が話し合っている。



「なあ見たか、今日の号外ニュース。」
「ああ。あれはびっくりしたよな・・・」
「おはよう。」
「「「「「瞬隊長!おはようございます!」」」」」
「ん?号外か・・・」



食堂に入った瞬は、机に置かれた号外新聞を手に取って見出しを確認。
既に何人もの手に渡っているのか、新聞は若干たるんでいる。



「『対G条約案、国会を通過』・・・」
「なんでも昨日、いきなりアメリカの軍艦が東京湾に来て、艦長のブリュー特尉がゴジラの脅威を理由に『対ゴジラ対策条約案』の成立を要求したそうで・・・」
「ブリューか。相変わらず、勝手な連中だな・・・」
「そうですよね。最近日本はアメリカに配慮しすぎというか・・・」
「えっと、『対G条約』って何だっけ?」
「・・・『破壊活動の有無に関わらず、ゴジラへの攻撃を許可する』というものだ。」





その頃、志真と遥はインファント島に到着していた。



「ふう、到着。水上バイクって始めてだったと思うけど大丈夫?」
「はい。逆に凄く速くて、気持ち良かったです!」
「そりゃよかった!そうだ、10年ぶりの島はどうだ?」
「・・・来たのは小さい時ですけど、今でも懐かしいです・・・」
『『私達も懐かしいです。』』
「うおっ!?」



何かの声がした下を見るなり、志真は仰天した。
足元にはいつの間にか小美人がいたからだ。
だが遥の方はと言うと、驚きよりもむしろ小美人に出会えた事に感激していた。



「妖精さん、本当に久しぶり・・・」
『『お久しぶりです。遥さん。本当に大きくなりましたね・・・』』
「もう、10年も経ってますし。」
『志真さんも、また会えましたね。』
『遥さんを連れて来て下さって、本当にありがとうございました。』
「いやいや、礼には及ばないよ。俺はただ、約束を守っただけだしさ・・・」



遥はくすりと笑い、志真は照れくさそうに頭を掻いた。



『『モスラが貴方達を待っています。それでは行きましょう。』』



小美人は手招きをすると、ジャングルの中へ走って行った。
2人は慎重に後を追う。



「そういえば、いつまでも『妖精さん』呼びだと違和感無い?」
「そうですか?」
「ちょっといい呼び名を考えてさ。」
「えっ?」
「こんな名前、どうだ?」



志真は遥に「小美人」と耳打ちをした。
だが、この直球なネーミングには遥も流石に難色を示してしまう。



「・・・ええっ!?それはちょっとそのまま過ぎ・・・では・・・」
「やっぱり、そうか?」
『『別に大丈夫ですよ。』』



と、そこに小美人の声がしたと思うと、目の前の木の枝に姿を現わす。



「あっ、妖精さん。」


――ああ、やっぱし却下されたか・・・


『実は、私達には名は無いのです。』
『むしろこんな私達にも名前を名付けて貰えて、嬉しいですよ。志真さん。』
「じゃあ、これからは妖精さんじゃなくて 『小美人さん』、ですね。」
『『はい。』』


――・・・ほっ、よかった・・・



面白い程に安堵の表情を浮かべ、心底安心する志真を見てつい笑みがこぼれる小美人。
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