ゴジラ3‐天空の覇者ラドン‐
その頃、家を出た志真と遥は京都駅に向かっていた。
外はもう日が沈み、夜になっている。
「えっと、まずは・・・」
「桜島。最初に自衛隊を止めないと。」
「はい、分かりました。」
「あと、もう敬語じゃなくていい。」
「えっ・・・?」
「いつも取材する時に思うんだけど、やっぱり敬語ってなんか慣れないんだよな・・・もうここまで来た以上、遥ちゃんとは『赤の他人』って関係じゃないと思うんだ。」
「そうですか?」
「まぁ、気にしないで。こっちが勝手に思ってるだけだし。」
「はい。えっと、し、し・・・」
「志真。志真哲平。日東新聞のしがないジャーナリストさ。」
「はい。志真さん。」
――うーん、まぁいいか・・・
多分、こういう娘なんだな・・・
「おっ、京都駅だ!急ごう!」
「はい!」
その後2人は京都駅に駆け込み、なんとか19時25分発の鹿児島行きの新幹線「ぐれん」に乗り込んだ。
「ふう、セーフ・・・」
「もう、志真さん・・・考えが、無さすぎますよ・・・!」
「ははっ、ごめんごめん・・・」
「しかし・・・今、鹿児島は悲惨な状況なのでしょうね・・・」
――ラドン、一体どうしたんだ・・・
「志真さん?」
「あっ、ごめん。ちょっと考え事。とりあえず席に座ろうか。」
家族連れから一人旅の男性まで、様々な人々を眺めながら2人は指定した席の前に来た。
「えっと、ここだな。遥ちゃんはどっちがいい?」
「私はどちらでも・・・」
「じゃあ俺は窓際に座ろうかな。俺、子供の時から窓際が好きだったなぁ・・・」
「そうなんですか?」
「なんというか、流れて行く景色を見るのが好きだったんだ。でも遥ちゃんにもそれを感じて欲しいから、やっぱ通路側に座る。」
「えっ、いいんですか?」
「一応、大人だし。」
「・・・では、お言葉に甘えて失礼しますね。」
こうして遥は窓際、志真は通路側に座った。
遥は志真の言った景色を眺める為、すぐ窓を覗き込む。
「どうだ?」
「はい!本当ですね!私、新幹線なんて久しぶりに乗ったので・・・」
「へへっ、だろ?あっ、そうだ、もう一つ聞きたい事があるんだ。」
「何ですか?」
「10年前の事、俺に教えて欲しい。」
一方、東京都・東京湾にある異変が起こっていた。
「お、おい!」
「あ、あれ見ろよ・・・」
「何よ、あれ!」
東京湾にいた人々が、一勢に沖を指差した。
そこに一隻の巨大な戦艦が来ていたからだ。
戦艦はそのまま湾内に侵入し、けたたましい音を立てて船着き場に停まった。
その戦艦の船頭には英語で「ニッキーズ」と書かれていた。