ゴジラ3‐天空の覇者ラドン‐






一方、ラドンの暴走は自衛隊本部にも届いていた。
本部はすぐに空軍戦闘機を九州に派遣、ラドンに向かわせた。
派遣された三機の戦闘機は既にラドンによって壊滅させられた鹿児島市を通り、天草灘に入る。



「こちら、ペッカー1、ペッカー1。2・3、応答せよ。」
「こちら、ペッカー2、どうぞ。」
「こちら、ペッカー3、どうぞ。」
「ラドン、天草灘上空をマッハ3で飛行中。これよりラドン駆逐に入る。」
「了解、了解。」



するとその時、コクピットのレーダーに一つの点が表示された。
ラドンだ。



「こちらペッカー3、ラドン確認、ラドン確認。距離、約10Km。」
「こちらペッカー1。ラドンに接近、威嚇射撃を行う。」
「了解、了解。」



3機の戦闘機はスピードを上げ、前方のラドンに急接近、ラドンの後ろに付いた。



「威嚇射撃、開始!」



戦闘機の翼部からショットガンが連射された。
弾は全てラドンに当たるも、ラドンは微動だにしない。



「こちらペッカー2、威嚇射撃が効きません・・・あ、うわあっ!」



一瞬の出来事だった。
ラドンが高速で横向きのまま戦闘機に突撃したのだ。
戦闘機は回避出来ず、撃墜される。



「こちらペッカー1!ペッカー2、応答せよ!ペッカー2!応答せよ!」



ラドンは速度を保ちつつ別の戦闘機へ突撃したが、戦闘機はすんでの所でかわす。



「こちらペッカー1、ペッカー3、応答せよ。」
「こちらペッカー3、どうぞ。」
「ペッカー2が撃墜された。一瞬たりとも気を抜くな。」
「了解・・・了解。」
「・・・!ラドン、急接近!回避せよ!」



ラドンは急上昇し、再び戦闘機に突撃をかけた。
戦闘機は右と左に別れ、ラドンを再び回避した。
すると、ラドンはそのまま勢いに任せて降下して行く。



「こちらペッカー1、ラドン急降下、こちらも降下する。」
「了解、了解。」



戦闘機も急降下し、ラドンを追う。
やがて長崎県、長崎市の街並みが見えて来た。



「こちらペッカー1、ラドン、長崎市に接近。戦闘機での市街地の攻撃は許可されていない為、射撃せずこのまま追跡を続けよ。」
「了解、了解。」



グィドオオオオオン・・・



ラドンはそのまま長崎市上空を通過した。
ビルも、マンションも、店もラドンが通る事によって破壊され、街の人々も無惨に吹き飛ばされる。
本場・豚骨ラーメン屋の屋台も酷い有り様だ。



「い・・・いやあああああああっ!!」
「やめろぉ!!やてくれぇぇ!!」
「助けてぇ!ママァァァ・・・!」


街中に無力な人々の悲鳴がこだまする。
だが、それでも航空部隊は何も出来なかった。



「・・・こちらペッカー1、本部、応答願います。」
『こちら本部。どうした。』
「・・・ミサイル発射の許可を。」
「・・・許可する。」
「了解、了解。」



ちょうどその時、ラドンが長崎市を脱出した。
戦闘機は少しラドンと距離を取る。



「こちらペッカー1、ラドン、長崎市市街地脱出し橘湾方面へ移動。ペッカー3、安全装置を解除せよ。」
「了解、了解。」



乗組員は決意の手で、コクピットの制御レバーを引いた。



「ミサイル、発射!」



戦闘機の下部からミサイルが発射され、一直線にラドンを追撃する。
ラドンは体を斜めに向けて一発目のミサイルをかわす。
しかしそこへ飛んで来た二発目のミサイルが、ラドンへ向かって直撃した。
九州の空に、凄まじい爆発が起こる。



「こちらペッカー1、ミサイル、1発目外れるも、2発目が直撃。」
「こちらペッカー3!レーダーからはまだ・・・わああっ!」



と、一機の戦闘機が一瞬の内に撃墜された。
ラドンはまだ、生きていたのだ。



「こちらペッカー1、ペッカー3、応答せよ!ペッカー3・・・」





最後の戦闘機が墜ち、健闘も虚しく全ての戦闘機が撃墜された。
ラドンはそのまま雲仙岳から有明海を経由し、熊本県・熊本市に降り立った。



グィドオオオオオン・・・



ラドンは力強く羽ばたき、街を、人を、全てを吹き飛ばしていった。
まるで自らの全てを吹き払うかの様に・・・
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