ゴジラ3‐天空の覇者ラドン‐




――なんだか一週間前、桜島に行った事を思い出すな・・・
あそこも怪獣が尊敬されていた所だった・・・






一週間前、鹿児島県・桜島の山肌を志真と桜島監視員のニ戸辺が登っていた。
目的は観光ではなく、ラドンを取材する為だ。



「す、すみません、頂上はまだですか・・・?」
「あともう少しったい!しっかりするね!」
「は、はい・・・」



険しい山道を2人は登って行くが、まだ頂上は見えない。



――ほ、本当にこんな厳しい所に怪獣がいるのか・・・?



・・・オオオオン・・・



その時、鳴き声にも似た高い音が頂上から聞こえて来た。
2人は足を止める。



「・・・!?」
「あれがラドンの鳴き声ったい。」
「あの声が!?」
「そうずら。3ヶ月も聞いてるけん、間違いはなか。」
「じゃあ頂上は近いですね・・・」
「んだ。あともうちょっとばい。」
「わかりました・・・」



再び二人は歩き始めた。
歩いている間にもラドンの鳴き声が途切れ途切れ聞こえて来る。



「段々、近付いてますね・・・」
「んだ。あともう一踏ん張りじゃ。」




すると、2人の眼前に桜島の噴炎が見えてきた。
頂上だ。
そして桜島の頂上には飛翔怪鳥・ラドンの姿もあった。



「あれがラドン・・・」
「そう。あいつばラドンだけん。」



ラドンは2人に気付いたのか、2人を見つめる。



「だ、大丈夫でしょうか・・・」
「大丈夫。ラドンば人襲わん。」
「そうなんですか?」
「んだ。ここを一度も出た事も無いし、近付いても何もせん。あとつい最近来た学者も『ラドンは熱エネルギーを好物としているから、人を襲う必要が無い。だから人は襲わない』、って言ってたとよ。」
「まさに人畜無害な怪獣ですね。」
「更にラドン見たさにでらぁ人々も集まって来て、最近さびれていたここいらも活気を取り戻したばい。うれしかー!!」


――・・・やっぱり、ラドンって悪い怪獣じゃないんだな。
まさにゴジラみたいな・・・


「それで、本当に記事にしてくれるけ?」
「えぇ。ラドンは人間に害を与える怪獣では無いと分かりましたし。」
「そりゃすまんなぁ!最近『怪獣はみんな敵だ』とか言う馬鹿な考えが世間に定着しとるけん、頼むとよ。」
「はい。しっかりと世間に訴えますよ。」



グィドオオオオオン・・・






「そうだ、怪獣は決して悪い奴じゃないんだ。ゴジラも、ラドンも、モスラだって・・・」



回想を終えた志真は水上バイクを乗り回しながら、静かにそう思った。



――それにしても、この言葉、瞬のやつにも聞かせてやりたいぜ・・・
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