ゴジラ2‐海底大作戦‐




ひとまず口論が一段落した瞬は、これまでに起きた出来事を菅に話す。



「何!?そんな事が!」
「はい、その通りです。」
「瞬、本当だろうな?」
「お前には聞いていない。俺は博士と話をしているんだ。」
「はいはい・・・でも、それならやはりゴジラは俺達を・・・」
「馬鹿な。たかが怪獣、そんな知恵が・・・」
「今なんて言ったこの・・・」



志真は瞬に反論しようとしたが、菅の存在を思い出し、反論を止める。



「まぁまぁ、犯人は分かったんだ。今は別にいいじゃないか。」
「は、はい・・・」


――やっぱり「太平洋のネッシー」の正体はあの怪獣だったか・・・
待てよ、そういえば『むつき』の破片も、太平洋で見付かったよな・・・まさか!


「博士、そういえば潜水艦『むつき』は確か2年前に太平洋でに起こった『第二次日本震災』の震源地の調査に行ったのでしたっけ・・・」
「うん。そうだけど。」
「志真、関係の無い話を出すな。」
「それが関係大ありなんだよ。怪獣の正体を知る為にな。」
「・・・どういう事だ。」
「『第二次日本震災』の事は、お前も知ってるよな?」
「ああ。太平洋を震源にしたという、巨大地震の事だろう。」
「それの調査をしに行った潜水艦『むつき』は、その怪獣に沈められたんじゃないかって思ったんだよ。」
「ええっ!?」
「なっ・・・!」
「まさか・・・」



志真のその言葉に、今まで黙り込むだけだった隊員達がざわめき立った。
菅も志真に質問を投げ掛ける。



「志真君、つまり怪獣は2年前から既に海溝にいたって事?」
「はい。素人の考えですが、恐らく震災時に海底に生き残っていた、海竜の生き残りが突然変異を起こした・・・かと。」
「突然変異・・・姿形的にはネッシー、と言うかプレシオサウルスっぽいね・・・さしずめ、『プレシオル』だな。」
「博士、冗談を言っている場合では・・・」
「お前はほんと石頭だな。ここでそのプ、プレ、プレセ・・・」
「プレシオル。」
「そうそう、『プレシオルを自衛隊の名誉に掛けて駆逐する!』とか言えないのかよ!ここ最近の船舶行方不明事件もこいつがやってるみたいだしさ!」
「根拠の無い理屈を・・・ただ、その理屈をもし事実と仮定するならば、奴にとっては日本海溝はテリトリーの様な物と考えていいだろう。勝手に侵入した者を、容赦無く叩き出す・・・」
「『残虐』に、な。こう聞いても動かないか?軍人さんよ。」
「そうとは言っていない。無論プレシオルは駆逐する。」
「だったら早速・・・」
「待て、今プレシオルは何処にいるのか分かっているのか?」
「あっ、そうか・・・」
「日本海溝の底だ、魚雷が届くはずが無い。それにこの辺りは何故か音波が乱れている。さつきから正確に魚雷を発射できる保証は無い。」
「音波が乱れるのは、プレシオルがコウモリの様に超音波を使って周りの物を判断しているからだと思う。光の無い深海に暮らす深海魚は目が退化していて、プレシオルも目が退化している筈だから。」
「だったらどうしようも無いんじゃ・・・」
「・・・そういう事になるな。」


――・・・ゴジラ。
お前は今もまだ、深海でプレシオルと戦ってるのか・・・?






一方、日本海溝の底ではゴジラと白い怪獣・・・プレシオルが壮絶な戦いを繰り広げていた。
だがやはり深海ではプレシオルが何枚も上手であり、ゴジラはそのスピードについていけない。
それを嘲笑うかの様にプレシオルは超音波ブレスでゴジラを追い詰める。



キィィィィィィィ・・・



凄まじい殺人音波に苦しむゴジラだが、プレシオルは攻撃の手を緩めてくれない。
ゴジラはひとまず底に着地したが、今度はゴジラの仕掛けを伺うように周りを旋回し始めるプレシオル。
その早さにゴジラはプレシオルを目で捕えられず、見失った隙にプレシオルはゴジラに近付き、鰭でダメージを与える。
ゴジラはすぐさま振り向くも、プレシオルは既にいない。
だがプレシオルは背後から慎重にゴジラへ近付き、攻撃を仕掛けようとした。
が、ゴジラは何とかしゃがんで攻撃を避ける。



グルルルル・・・



ゴジラは、苦戦を強いられていた。
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