ゴジラ2‐海底大作戦‐









その頃、きさらぎは日本海溝の底へ深く沈んで行っていた。
もうすぐ深度5000m、きさらぎの限界強度に達してしまう。
中の酸素ももう、僅かしか残っていない。



ディガアアアアアアオン・・・



と、そこに近付いて来たのはゴジラだった。
ゴジラは沈むきさらぎを手に掴み、海溝を上昇し始めた。
瞬く間に深度4000を切り、3000、2000、1000・・・と、ゴジラは確実に海上に向かう。



キェルルルルルル・・・



しかしそれを見逃さない、一つの影があった。
そう、白い怪獣だ。
怪獣は海上まであと500mという所まで向かったゴジラへ接近し、鰭で攻撃を仕掛けた。
ゴジラは怪獣に攻撃しようとするが、周りは何も見えない上に船を抱えている為闘いに集中出来ない。
それをあざ笑うかの様に怪獣は鰭でゴジラにダメージを与えていき、更に口から強烈な音波「超音波ブレス」を発した。
数々の船を沈めた、魔の音波だ。



キィィィィィィィィ・・・

グアアアア・・・



頭を割る様に強烈な超音波に、ゴジラは苦しむ事しか出来ない。






それと同刻、さつきが日本海溝上の目標地点に到着した。



「レーダーが日本海溝深度482m地点にて、巨大な二つの影を捉えています。」


――やはり、ゴジラも来ているか・・・


「その深度なら大丈夫だ。たつを出せ。」
「了解。」



すると戦艦の船底が開き、そこから小型潜水艦「たつ」が出てきた。
たつは静かに、だが高速で日本海溝を目指す。





一方、ゴジラは苦戦を強いられていた。
何故かこちらの攻撃を怪獣が全て避けてしまうからだ。
尾の一撃も、背鰭の切り裂きも。
熱線も水中では役に立たず、怪獣は確実にゴジラに攻撃を加えていく。



「・・・こちら『たつ』。ゴジラと・・・正体不明の巨大生物を発見。」



と、そこにたつがやって来た。
乗組員が無線から状況をさつきに伝える。



グルルルル・・・



怪獣がたつに気付いて上を見上げたその隙に、ゴジラは怪獣の首を右手で掴んだ。
喉を圧迫され、怪獣は苦しみの声を上げる。



『報告にあった巨大生物だな。それで、潜水艦はどうなっている?』
「潜水艦はゴジラの手の中にありますが、どうしましょうか?」
『ゴジラの手の中だと?・・・よし、なるべく接近しアームで救助だ。』
「了解。」



たつは二体の闘いの中へ向かって行った。
怪獣はたつに向かおうとするも、ゴジラが首を押さえつけている為思うように行かない。
更にゴジラの背鰭が青く光り、たつは両脇からアームを出してゴジラの手の中にあるきさらぎを掴む。
ゴジラは怪獣の首を離すと同時に熱線を放ち、胴体に直撃させた。
やはり水中なので威力は下がっていたが、それでも怪獣には痛手だった。



「潜水艦、キャッチ成功。退避します。」



たつの存在に気付いたゴジラは、手を離した。
ゆっくりとアームを縮めてきさらぎを回収すると共に、たつも海溝を上昇していく。
怪獣はたつを追おうとするも、ゴジラに尾を掴まれ、阻まれた。



ディガアアアアアアオン・・・



ゴジラはそのまま暗い海溝の底へと、怪獣を引きずり込んで行った。
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