ゴジラ2‐海底大作戦‐







その頃、太平洋・日本海溝付近を貨物船「しわす」が通っていた。
船中では船長に対し、船員達が何か訴えている。



「船長!いくらなんでも無茶です!」
「仕方ない。積んでいる食糧の納期が迫っているんだ。ルートを変更したら間に合わない。」
「最近、船舶の消息不明が後を立たないんですよ!化け物を見たと証言もありますし!」
「・・・お前達、そんなものを恐れていて仕事が務まるのか?俺達には任された荷物を届ける責任があるんだ。なのに、それを投げ出してどうする。」
「そ、それは・・・」
「もしその化け物が出てきたとしても、与えられた仕事を、信頼を投げ出して死ぬよりも、最後までそれを投げ出さずに死ぬ方が本望では無いのか?」
「・・・!」
「俺達には信頼を届ける使命がある・・・さあ、行くぞ。」
「は・・・はい!申し訳ありません!」
「誇りある仕事を捨てようなんて・・・私達は無責任でした!」
「ならレーダーでも見ていてくれ。化け物が来るのなら、心の準備くらいしたい。」
「は、はい!」



船員達は慌てて持ち場に戻って行った。
船長はただ、窓の先に写る海を見つめていた。





一方、深き日本海溝の底で勇敢に進むしわすを狙う影があった。
影は口から超音波を出しながら、隠密にだが確実に海面のしわすを目指す。
しかし、影の背後にまたもう一つの影・・・黒色の怪獣が影の後を追っていた。



ディガアアアアアアオン・・・



そう・・・ゴジラだ。
ゴジラは影に追い付くと、鰭の様な部分を腕で掴んだ。
影はもがき、ゴジラを振り払おうとするが、ゴジラも腕を離さない。



グルルルル・・・



ゴジラは抵抗する影を抑えながら海上に向かうと、無理矢理影を引きずり出した。



「レーダーに巨大な二つの陰影!急浮上します!」
「来たか・・・」



しわすの船員達が見た影の正体、それは海竜にも似た姿をした巨大な怪獣だった。
白い体に長い首と尾、四対の鋭い鰭。
しかし、顔部に目は見掛けられない。



「か・・・海竜だ!」
「あの黒い奴、ゴジラじゃないか!?」
「船長、危険です!離れましょう!」
「・・・待て、白い奴の様子が変だ!」



そう、白い怪獣が突然何の脈絡も無くもがき苦しみ始めたのだ。
それはゴジラの攻撃ではなく、むしろ日光に苦しんでいる様だった。



キィアアアアア・・・



更に強くもがく怪獣をゴジラは必死に抑え込むも、かなり辛そうだ。
その間にも怪獣の肌が腫れた様に赤くなっていき、怪獣は焦りからゴジラの喉元に噛みついた。
苦痛の余りゴジラは鰭を少し引きちぎり、怪獣を放してしまう。
だが、同時にゴジラは背鰭を青く光らせた。



パチッ・・・パチパチ・・・



怪獣は潜水してその場から逃げようとするが、すぐにゴジラは怪獣へ熱線を放った。



シュゴオオオオオオオ・・・



熱線は怪獣には当たった様だが、やはり逃げられてしまった。
ゴジラもまた怪獣を追う為、海の中へ姿を消した。



「どうやら、助かったようだな・・・」
「船長、これからどうしますか?」
「自衛隊に報告だ。もはや俺達が関わる問題では無さそうだしな。」
「はい。」
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