ゴジラ2‐海底大作戦‐




しばらくして部所に戻って来た志真は、早速記事を書き始める。
しかしまだ完全に頭が冷え切っていないからか、中々文章が浮かばない。



「・・・あぁ、くっそ!全然駄目だぁ!俺は早く、世間を見返さないといけないのに・・・!」


――・・・んっ?あれは参考になるかな・・・?



志真は前の机にある昨日付の新聞を取り、読み始めた。
しばらく読み進めている内、志真の目にある記事が入った。



――・・・これはっ!



志真はすぐ新聞を持ったままデスクの元に向かい、新聞の記事を指差してこう言った。



「んっ、志真か。どうした?」
「デスク!これを調査させて下さい!」



志真は指差した記事、それは連日日本海溝付近で起こっている「乗客船連続行方不明」の記事だった。



「ふーむ、これか・・・しかし、また何故いきなりこの事件を?」
「もしかしたら、ゴジラと何か関係があると思って。」
「確かお前は今『太平洋のネッシー』とか言う記事をしてなかったか?」
「後でやります。」
「それで、この事件がゴジラと関係があると言う根拠は?」
「・・・いえ、ただ勘で・・・」
「まぁお前の感性は時に凄まじく鋭い。それだけは認める。だが、根拠も無しに突き進むだけなのは関心しない。そんな事では、いつまでもあのジャーナリストは見返せないぞ。」
「やっぱり・・・ですか?」
「当たり前だ、馬鹿者。ジャーナリストたるもの確かな『根拠』が必要に決まってる。それはさっきお前自身が言っていた事だろう。それに、お前にはやり残してる記事もある。それが終わってから物を言え。」
「・・・分かりました・・・」
「・・・あっ、そうだちょっと待て。」



志真は肩を落としながら戻ろうとしたが、デスクは急いで志真を呼び止める。



「どうしました?」
「調査系がしたいのなら、ちょっとこれを頼まれてくれないか。」



デスクは一枚のレポート用紙を引き出しから取りだし、志真に渡した。



「えっと・・・漂着物の調査?」
「そうだ。2年前、『むつき』という潜水艦が太平洋を調査中に突如消息を絶った。だが、最近になってその潜水艦の破片らしき物が菅と言う博士が見つけたらしい。」
「はあ・・・」
「そこでお前にはこの破片に関して調査して来て欲しい。」
「ですが、今は・・・」
「『ゴジラの方が気になる』か?俺も分からなくは無い。しかし、まずは身近な記事から固めてみても遅くは無いだろう。自分の実力にあったものからこなしていけば、いつかゴジラに会えるかもしれんしな。」
「・・・はい。」
「じゃあとっとと準備して行け。」
「わ、分かりました!」



志真は自分の机に戻り、バッグに取材道具を詰め始めた。



「菅博士は仙台だ!分かったな!」
「はい!それじゃあ行ってきます!」



志真は部所を出ると、会社を出て駅に向かって行った。
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