ゴジラ2‐海底大作戦‐







翌日、ここは東京都・あきる野市にある日東新聞本社。
だが、中では若いジャーナリストが別のジャーナリストと口論していた。



「おい!今すぐあの記事を撤回しろ!」
「いい加減認めろ!ゴジラはもう死んだに決まってんだろ!」
「決め付けんなぁ!!」



若いジャーナリストは相手の胸ぐらを掴む。



「ありもしない仮定で、勝手に記事を書くんじゃねぇ!ちゃんと証拠を掴んでから書きやがれこの・・・!」
「志真!」



そこに現れた中年の男は、この部所のデスクだ。
そして激しい怒りをぶつける若いジャーナリストの名は志真哲平。
かつてバラン事件を取材した男だ。



「ちっ、半人前がふざけやがって!」
「黙れ!ふざけてんのはどっちだ!」
「お前達、一体どうしたんだ・・・」



事情が飲み込めないデスクはふと、近くの机に置かれていたくしゃくしゃの新聞を取る。



「なになに・・・『あれから半年、ゴジラ死んだか!』・・・なるほど、志真が腹を立てたいるのはこれか・・・」
「本当の事じゃないか。もう半年もゴジラは姿を見せていない。死んだと考えるのが普通だろ。なのにこいつ・・・」
「この・・・!」



志真は怒りのあまりジャーナリストに殴りかかろうとした。
だが、すぐデスクに止められる。



「落ち着け!今は何も分からないんだ!」
「しかし!」
「志真、頭を冷やせ!」
「・・・はい・・・」



志真は腕を降ろし、ジャーナリストの胸ぐらを掴む手を離す。
ジャーナリストは不愉快そうに服を整え、志真を睨む。



「・・・ふん、だからお前はデスクの言う通り、半人前なんだ。」
「俺より少し早く入れたからって、調子に乗るんじゃねぇよ!絶対、証拠を掴んでやるからな!」



志真はそう言い残し、部屋を出ていった。



「デスク、あいつに肩入れしすぎですよ。いくら半年前、バラン事件を書き上げたからって。」
「確かにそうかもしれない。だが、ああいう奴に限って意外な所で活躍するもんだ。それに、お前の記事に物事を自分の物差しだけで決めつける癖がある点は否めない。」
「そう、ですか・・・」
「とりあえず、お前も早く部署に戻れ。」
「・・・分かりました。」



ジャーナリストは渋々、自分の部所へ戻っていった。



「ふむ、あいつは今頃屋上にいるな。」





「はぁ・・・」



デスクの言う通り、志真は屋上で寝転びながら空を眺めていた。



「何でみんなしてゴジラを邪険にするんだ・・・瞬みたいに、巨大なだけで避けるのか・・・?」



雲の動きを観察するように空を眺め、半年前の事を思い出す志真。



――・・・あいつは俺の、命の恩人だ。
だからせめて、何かしてやりたいんだ・・・!


「・・・そうだ、証拠さえ掴めばいいんだ。俺は絶対、世間を見返してやる!」



志真は奮起すると起き上がり、屋上から出ていった。
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