ゴジラ2‐海底大作戦‐
2008年・11月、バラン事件から7ヶ月。
太平洋・日本海溝付近を乗客船「さつき」が通っていた。
操縦室では船長と船員が話し合っている。
「天気も良好!言うことなしだな。」
「船長、もうすぐ日本ですね。」
「うむ。このまま何事も無ければいいが。」
その一方、海の底では謎の影が静かに動めいていた。
影は海面の船をまるで獲物を狙うかの様に見つめると、口から強烈な超音波を発した。
超音波は瞬く間に海上の船を襲う。
キィィィィィィィィィィ・・・
「うわああっ!」
「何だ!この音は!」
「耳が・・・痛い・・・!」
その超音波に誰もが苦しみ悶え、船内の機器も連鎖式に破壊される。
「船長!機械が、全てやられました!」
「むうっ!何事だ!」
更に周辺の天気が一気に悪化していった。
太陽はすっかり雨雲に隠れ、豪雨が辺り一帯に降り注ぐ。
「くっ・・・!雨までも・・・!」
船長は無線機を取ると、船員達に連絡した。
「せ、船員に次ぐ!早く乗客の避難を!」
「はっ、はい・・・う、うわああああ!」
「どうした!一体何があった!」
その時、船員の悲鳴と共に無線機から何かの声が聞こえてきた。
キェ・・・ルルル・・・ル・・・
「な、な、な・・・」
更にその直後、突如船が真っ二つに切断された。
乗客や船員は無力にも海に落ちて行き、激しい嵐の中に投げ出される。
「きゃあああああ!」
「わああああああっ!」
「たっ、助けてくれー!」
続々と人々が落ちて行く中、船長は何とか船の甲板に掴まり、持ち堪えていた。
「くうっ・・・!」
だが、水に濡れた甲板を掴む手は段々と滑って行き、遂に力尽きた船長は海に落ちた。
「・・・ぷはっ!・・・くっ、一体何事だ・・・」
「ぎゃあああああっ!」
しばらくして海面から船長が上がって来たが、すぐに船員の悲鳴が聞こえてきた。
「どうした!何が・・・は、はっ!」
悲鳴が聞こえた方に振り向いた船長は、嵐の中に巨大な首長竜の様な生物を見た。
そう、無線からの奇声の主だ。
キェルルルルルルル・・・
「か、かっ・・・かい・・・!」
やがて嵐が止んだ時には、船は跡形も無く海の底へと沈んだ後だった。