ゴジラ‐世紀の大怪獣‐
――んっ・・・?
ここ、何処だ・・・
――何だか、足音が聞こえる・・・
俺も天国行きか・・・
――最後まで、ゴジラを見届けられなかったのが心残りだなぁ・・・
――・・・いや、まだいっぱいある!
瞬に謝らせてないし、デスクにちゃんと認めて貰ってないし、それに・・・やっとの仕事もろくに果たせなかった・・・!
――まだ生きたい!
まだやり残した事が、俺には沢山あるんだーーーーーーーーー!!
「はっ!」
そこで志真は意識を取り戻した。
すぐ周りを見渡したが、黒い何かに塞がれていて何も見えない。
しかもこの場所は、何故かしきりに振動していた。
「夢、か・・・でもここは一体何処・・・うっ、うわあぁ!」
ふと、上を見上げた志真は仰天した。
そこにゴジラの巨大な顔が見えたからだ。
そう・・・ここはゴジラの掌の中だった。
「なんで俺、ゴジラの手の中にいるんだ?あの時瓦礫が落ちて来て、避けたと思ったら転んで、それから・・・」
と、その時ゴジラが突然動きを止めたかと思うと、手を下ろした。
困惑しつつも、志真はゴジラの手から降りる。
辺りを見渡すと、どうやらここは何処かの砂浜のようだ。
グルルルル・・・
「あっ、ありがと・・・な。」
ゴジラは志真をしばらく見つめた後、海へ歩んで行った。
感謝の気持ち一杯に、志真は大きくゴジラに手を振った。
「また、また!どっかで会おうなー!!」
やがて、ゴジラは朝日の彼方へと消えて行った。
志真は手を振るのを止め、今回の一連の出来事を回想する。
――・・・何だか、今回は不思議な事件だったな・・・
とりあえず、早く本社に帰ろっと・・・
「・・・ってか、ここは何処?」
志真は本社へ帰るため歩き出そうとしたが、まずここが何処であるかを知らなかった。
当ても無いまま、志真は頭を掻きながら砂浜を去って行く。
だが、彼の後ろの看板には「三浦海岸」とはっきり書かれていた。