ゴジラ‐世紀の大怪獣‐




グウィウウウウウン・・・



バランは咆哮を上げると皮膜を広げ、東京へ向かった。
この絶望的な展開に志真はカメラを落とし、ただうなだれる。



――ちくしょう・・・
このまま、東京はバランに滅ぼされるのか・・・駄目だ・・・!
ここで終わらせたら、本当に終わっちまう!


「・・・ゴジラ!起きてくれ!あいつを倒せるのは、お前だけなんだ!」



悲痛な叫びでゴジラに訴えかける志真だったが、ゴジラは起きる気配は無い。
志真の声だけが、街に虚しく響く。



「頼む・・・街を・・・みんなを、救ってくれ・・・!」



志真は力無く膝を地面に付け、涙を流した。
彼の悲しみが宿った涙は地面に転がるカメラに落ちるが、カメラは決してその涙を受け止めてはくれない。



「たのむ・・・みんなを・・・!」



・・・パチッ・・・



「・・・!」



涙で濡れた目を開き、ゆっくり立ち上がった志真が見たもの。
それは青い閃光を瞬かせ、勇ましい咆哮が絶望に包まれたこの街にこだまする姿だった。



ディガアアアアアアオン・・・



「ゴジラ・・・!」



再び起き上がったゴジラは東京へと向かうバランを睨み付けると、強く地面を踏み締め背鰭を青く輝かせた。
今やバランは東京湾を飛び、東京まであと僅かの距離だ。



パチッ・・・パチパチ・・・



「よし、俺も・・・!」



志真もすかさずカメラを拾おうとするが、ゴジラが踏み締めた振動でビルの瓦礫が志真に向かって落ちて来た。



「う、うわあああっ!」



志真は何とか瓦礫を避けるも、その拍子で足を滑らせ地面に転倒してしまい、気を失ってしまう。
そして志真の意識が遠のくと共に、ゴジラは熱線を放った。



シュゴオオオオオオオ・・・



放たれた熱線は凄まじい速さでバランへ向かう。
バランは後方から飛んで来る熱線に気付いたが、避けるよりも早く熱線はバランに直撃した。



グウィ・・・ウウウウウン・・・!



バランは撃墜され、火の塊となって東京湾に沈んだ。
皮肉にもバランは、東京湾に再び葬り去られたのだった。



ディガアアアアアアオン・・・



横浜の街に勝利の咆哮を響かせるゴジラ。
そのままゴジラは街を去ろうとしたが、足元に気を失った志真を見付けると、その大きな手を伸ばした。
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