ゴジラ‐世紀の大怪獣‐
それから数十分、横浜ではバランはビルを破壊しながら徐々に東京へ近付いていた。
そこへ自衛隊の航空部隊が飛んで来る。
「バラン発見。駆逐します。」
『よし、ミサイル発射を許可する!何としてもバランの進行を阻止せよ!』
「了解、了解。」
本部に連絡を終えた隊員はミサイル発射をセーブする安全装置を解除し、バランに攻撃を始める。
放たれたミサイルは全てバランに直撃したが、バランの弾力性のある皮膚には通用せず、逆にバランは迫る戦闘機に尾を叩き付けた。
数機の戦闘機が地面に落下し、爆発する。
しかしバランは手を緩めず、更に針千本を撃ち出す。
「た、退避・・・うっ、うわあああっ!!」
戦闘機は棘を避け切れずに続々と爆破されていき、航空部隊は簡単に全滅した。
バランは悠々と東京を目指すが、そこに青い光線がバランに向かって飛んで来た。
光線はバランの頭部に直撃し、思わずバランはビルに倒れ込む。
ディガアアアアアアオン・・・
そして街を揺るがし、現れたのはゴジラだった。
バランもまた煙立つ頭を抱えながら起き上がり、ゴジラも臨戦体勢を取る。
更にゴジラの遥か後方には、右肩にカメラを構えた志真の姿があった。
「やっぱり、お前は善悪が分かる怪獣なんだな。この戦い、ジャーナリストとしてじゃない・・・志真哲平として記録するぜ・・・!」
志真がカメラの録画ボタンを押したのと同時に、バランがゴジラに仕掛けた。
ゴジラもバランに突っ込み、二体は取っ組み合いになった。
だが今回はゴジラも引かない。
グルルルル・・・
グァウウウウ・・・
やがてゴジラがバランを押していく。
バランは何とかゴジラを抑え込もうとするも全く効かず、ゴジラは全身に力を込めてバランを押し返した。
後ろによろめくバランにゴジラはすかさず尾を振るが、バランは四つん這いになってゴジラの尾撃をかわす。
グウィウウウウウン・・・
更にバランはそのまま岩流を放つ。
岩塊はゴジラに直撃し、バランに隙を見せてしまう。
それを突き、バランはゴジラに尾を叩き付けた。
ゴジラは地面にうずくまるが、バランは容赦無くゴジラを蹴り付ける。
ゴジラは少しずつ弱っていく。
「・・・まだだ。」
ゴジラが劣勢になれど、志真は決して二体の闘いから目を離さず、ビルの影から闘いをカメラで記録していた。
「ゴジラ・・・お前の実力は、こんなんじゃ無い筈だ!」
志真の言葉を聞いてか、うずくまっていたゴジラが頭を起こした。
それと同時にゴジラの背鰭が青く光る。
熱線の予兆にバランは警戒し、ゴジラが放った熱線を素早く皮膜を広げ、飛翔してかわした。
熱線は地面に当たって大爆発を起こし、辺りに煙が立ち込める。
その煙に隠れ、バランは飛翔したままゴジラに突っ込んだ。
ゴジラは何とか踏み留まるが、バランはそのまま空中で体勢を立て直し、再びゴジラに体当たりを仕掛けようとした・・・が、ゴジラはバランを避けようとせず、そのまま鋭い背鰭を突き立てる。
そしてゴジラは突っ込んできたバランを、背鰭で斬り付けた。
柔軟な性質で打撃を半減するバランの皮膚の弱点・・・斬撃で攻撃したのだ。
グガアアアン・・・
バランの胸が切れ、そのまま地面に落下する。
バランはすぐに起き上がろうとするが、ゴジラはすぐさま尾をバランに叩き付けた。
バランは倒れざまに岩流を放つが、ゴジラは熱線で全て塞き止めた。
グルルルル・・・
ゴジラは地面に倒れるバランを睨み付ける。
だがバランは再び立ち上がり、空気を口に収束し始めた。
スゥアアアアアアア・・・
すかさずゴジラも熱線を放とうとするが、一歩早くバランが真空圧弾を撃ち出した。
ドコオオオン・・・
圧弾はゴジラに直撃し、ゴジラは地面に倒れた。
しかしバランは素早く空気を圧縮させ、ゴジラにもう一撃真空圧弾を撃つ。
グアアアアア・・・
圧弾は再びゴジラに直撃し、力無く倒れたゴジラは遂に動かなくなった。