ゴジラ‐世紀の大怪獣‐






一方、横浜市近郊ではゴジラとの戦闘が続いていた。
瞬の航空部隊も到着し、陸上部隊を援護しているが、数機の戦車・戦闘機は既に破壊されている。



「隊長!もう残存機は8機だけです!」
「くっ・・・」



と、その時自衛隊本部から連絡が入って来た。
内容は無論、バラン出現についての連絡だ。



『瞬特尉!横浜にバランが侵入した!今すぐ駆逐に向かってくれ!』
「倒せそうな方を倒す方が能率がいい。違う部隊を回して下さい。」
『なっ、何を言っているんだ!』
「今、私の部隊は66%のダメージを受けています。この不利な状況でバランに向かうよりも、また新しい部隊を横浜に派遣した方が確実なのでは。」
『・・・そうだな。』
「私はここでゴジラを駆逐します。貴方達は新しい部隊を派遣して下さい。」
『分かった。健闘を祈る・・・』



本部からの連絡が切れると同時に、別の隊員から連絡が入る。



『隊長、本当にいいんですか?』
「現時点でのバラン対策は全く無い。残存機が少ない中で向かっても全滅するだけだ。」
『はい・・・』



と、その時ゴジラの背鰭が青い輝きを放った。



『た、隊長!』
「嫌な予感がする!今すぐ脱出しろ!」



瞬の指示で隊員達は早々と戦車を出た直後、ゴジラの口から放射熱線が放たれた。



シュゴオオオオオオオ・・・



青き光線に陸上部隊は一瞬にして全滅し、ゴジラは更に熱線を空を飛ぶ戦闘機へ向ける。
隊員はパラシュートを使ってすぐに脱出したが、航空部隊も全滅した。
そしてその様子を隊員達は唖然として見ていた。
流石の瞬もこの結果には言葉が出ない。



「な、何だあれは!?」
「部隊が、全滅・・・」
「こんなに、こんなにあっさりとやられるなんて・・・!」
「・・・何故だ。」
「隊長?」
「何故そんな力を持ちながら力を有り余らせない・・・力が有り余るからこそ、怪獣は破壊を繰り返す筈・・・!」



何か心覚えがあるのか、焦る瞬の頭に志真の言葉が反復される。



――・・・本当に倒すべき奴は、皆の命を奪った奴だ!それだけは覚えとけ!



「・・・そうか。」
「ど、どうしました?」
「馬鹿の方が、正しかったか・・・」
「・・・?」



瞬らしからぬその言葉に、一同は再び唖然とした。
が、もちろん当の本人はそれに気付いていない。



「よし、帰還するぞ。」
「りょ、了解。」



こうして、瞬の部隊は本部へ引き上げて行った。
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