ゴジラ8‐大神獣メギラ降臨‐







ゴァアアン・・・


ゴァアアン・・・


ゴァアアン・・・



これが、「絶望の一夜」・・・
ゴジラに何だか似ている怪獣の「ジラ」が、みんな怒って・・・全てを滅ぼす。



グァアアアアアアウン・・・



それは、ジラの遺伝子を使って「ディラ」を・・・怪物みたいなゴジラを生み出して、



ギィウウウウウウウン・・・



ディラに対抗する為に、「ディラハルコン」と言うオリハルコンで作られた、ジラの遺伝子を秘めたディラ・・・志真さんが言っていた「メカゴジラ」を作ったから。
ジラが世界を沈めて行く中で、ディラとディラハルコンは戦っている。
同じジラだった筈の、存在同士で・・・
何だろう、この胸を締め付けるような悲しみと虚しさは・・・
どうして、仲間同士で戦わないといけないんだろう・・・全部、人間の勝手な行いのせいなのに・・・ディラもディラハルコンも、ジラも悪くないのに・・・
沢山の人が死んで、大地が沈んで行って、本当に嫌だけど・・・私には、ジラ達の怒りと悲しみも分かる気がする。
人間を、世界を、全て滅ぼしてしまいたくなるくらいの感情が・・・






『はぁ・・・はぁ・・・やっと、辿り着いたぞ・・・!ここが、神が降り立つと伝わる地、「神域」・・・ここまで来れば、ジラ達も来ない筈だ・・・』



えっ?あれは・・・ノアさん?
女の人をおぶってる・・・何だか、私に似てる・・・?



『何故、こんな事になってしまったんだ・・・何故、神を信じながら愛する者と静かに暮らしたかっただけなのに・・・何故、ジラは怒って・・・私達は、怯えなければならない・・・!
神よ、どうか本当におられるのなら・・・私の妻を、愛する者を蘇らせて下さい!
妻は本当に良い人です!善性を絵に描いたような、愛される為に生まれて来た人なのです!なのにこんなしがない私を、心から愛してくれたのです・・・!
私はどうなってもいい!この命を、何でも差し出してもいい!
だから、我が愛しの女性(ヒト)を、どうかお救い下さい・・・!!』



この人がノアさんなのなら、ノアさんは奥さんを「絶望の一夜」で亡くしたんだ・・・
だから、私を・・・?



『・・・おお、神よ!!貴方は寝ておられるのか!!
ならば今すぐ目を覚まし、我らを・・・私の妻をどうかお救い下さい!!
神のお恵みを、我らにお与え下さい・・・!!
その為ならば、私はどうなっても構いません!!貴方達の使徒に、兵に、僕(しもべ)にもなりましょう!!
だからどうか、どうか・・・!!』





ーー・・・。



『・・・はっ!!
そのお声は、もしや・・・!?
ああ、神よ・・・!!』





「・・・はっ!?」



ゴジラとラゴウの共闘より、少し前。
天地島・サンクチュアリの光の神殿の中で遥は目を覚まし、一万二千年の・・・「絶望の一夜」の記憶(メモリー)はここで途絶える。
傍らには、空を見上げるノアがいた。



『気付いたか。』
「ノアさん・・・今、私が見ていたのは・・・」
『「絶望の一夜」。そして、我がただの人間だった時の最後の光景だ。』
「では、『神域』・・・ここで神に懇願していた、あの人は・・・」
『・・・私だ。』
「やはり・・・それで、貴方の奥さんは助かったのですか?」
『助かった。厳密には、救われたと言うべきか。あの後妻の魂は、安らかに神の元へと昇った。二度と会えずともこの世界が滅びるその日まで、神と共に安息の中にいる。それでいい。』
「・・・ですが、貴方は私だけは助けるように、神様にお願いしました。奥さんに面影が似た私を、あの時のように。まだ、貴方の中には奥さんへの思いが・・・『愛』が、残っているのでは無いですか?」
『・・・それがどうした。今の我は「神人」。神に使え、メギラとなってこの世界に「審判」を与える者だ。もうすぐ、ギヴァークが消える。その時こそ・・・』
「ノアさん、何度でも言います。「審判」を止めて下さい。奥さんが貴方が言うように善性を絵に描いたような、いい人なのなら・・・こんな事を、人間を滅ぼす事は望んではいない筈です。その女性(ヒト)が天から貴方が「審判」を下す姿を見ているのなら、本当にその女性は安息の元にいると言えるのですか?」
『・・・その口を閉じろ。また手荒な手段を取る事になるぞ。』
「いえ、私は止めません。『絶望の一夜』を、貴方の記憶を見たからこそ、尚更・・・私は、決して諦めません。人間が過ちを悔い改められる事を、「審判」を止める事を・・・貴方と、神様と分かり合える事を。」
『・・・!ならば、再び意識を奪うしかない・・・!』



ノアは両手を合わせ、光を纏わせ遥に左手を伸ばす。
だが遥は、宙に浮いたまま動けないにも関わらずノアを、覚悟の眼差しで見つめ続ける。



・・・クィキウィィン!



と、その時。
空から一つの光が目にも止まらぬ速さで飛んで来たかと思うと遥の前で静止し、光が放った虹色の光線がノアを弾き飛ばした。
それと同時に遥の浮力が無くなり、慌てて遥はステンドグラスのような神殿の床に着地する。



『むううっ・・・!』
「・・・モスラ!?」



光の正体は、「フェアリー」体のモスラであった。
遥の心に、来ると思っていなかったモスラが駆け付けた安心感と、一つの疑問が浮かぶ。



「ありがとう・・・で、でもなんでここに来れたの!?私は貴女を呼んでないし、日本に来るまで早くても一時間は掛かるのに・・・?」
『守護怪獣・モスラよ・・・我が封じたと思っていた妃羽菜遥の僅かな願いに応え、命を削って光の速さでここまで来たか。』
「えっ・・・?」





ーー・・・モスラ・・・!





『・・・モスラ、やはり行くのね。』
『けれど遥さんが危ないのなら、貴方は居ても立ってもいられない・・・』
『私達には分かるわ。だって、貴方が生まれ出でたその時からずっと傍に居たのだから・・・』
『モスラ、行って。そして遥さんを、世界をどうか守って。』
『『美しき地球(ほし)の守り神、モスラ。今こそ人と、獣と、「結晶」の・・・「‐」(ハイフン)の力を持って、あまねく人々に救済と平和を・・・』』



カクィオオオオウン・・・



そう、モスラは遥がノアに拐われたその瞬間に遥の呼ぶ声を「結晶」を通して聞き、小美人に別れを告げてインファント島を出発。



クィキウィィン・・・



「フェアリー」体に変わり、全身を橙色の粒子と化したかと思うと、次の瞬間にモスラはマッハに換算して80を越える光速に近しい速度で、天地島へ飛んで行った。
限りなく光子に近い体構造をした「フェアリー」体でのみ出来る、モスラの命を削る神速の秘技「エクセル・ダッシュ」だ。
こうしてモスラは瞬く間に遥の元に辿り付き、遥の願いに応えたのだった。






『偽りの神、「神器」を託す使命を持っただけの獣の分際で、神が降り立つ此の地に土足で踏み入るとは・・・無礼な!』
「無礼ではありません。モスラはこれまで人々を、世界を守って来た『守護神』です。今もこうして、私の小さな願いに応えて私を助けてくれました・・・モスラも、バランも、ゴジラも・・・みんなにとって平和を守ってくれる、立派な『守護神』なんです!
ですが、私は貴方と争いたくはありません・・・まずは、とことん話し合いましょう。私や志真さん、瞬さんと。」
『・・・そうか。そんな所も似ている・・・あの女性と。だが、何度でも言う。「審判」の時は、人間の滅亡は、メギラ降臨は止められない。これは、神の意志だからだ・・・
今、ギヴァークが・・・最後の罪人が消えた。我もまた、動く時。
妃羽菜遥。ここで大人しく、「審判」を見届けろ。我の、たった一つの願いだ・・・!』



ノアは再び両手を合わせ、光に包まれながら天へ昇って行く。
モスラは大きな触覚から先程ノアを攻撃した虹色の光線「プリズム光線」を撃つもノアには当たらず、そのままノアは天高く消えて行った。



「ノアさん、まさか・・・!モスラ、ノアさんはああ言ってたけど、私はここで世界の・・・人間の最後を見ている事なんて出来ない。ノアさんを・・・メギラを、私は止めたい。だからお願い、私をノアさんの所へ連れて行って。でも光の速さじゃなくて、いつもの速さでね?」



クィキウィィン・・・



遥の真の願いにモスラは頷き、空へ舞い上がり「ノーマル」体へと変化。
触覚からの光のエレベーターで遥を頭上に乗せ、モスラは遥と共に神殿を去って行った。



カクィオオオオウン・・・



「・・・行こう、「審判」の地へ!」
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好釦