ゴジラ8‐大神獣メギラ降臨‐
「・・・それが、あ、あたしは・・・」
・・・ゴォォォヴウウ・・・
火山諸島では、風山がようやく南野へゴジラ攻撃への是非の返事をしようとしていたが、それは突如聞こえて来た咆哮によって掻き消された。
「な、なんね今の声!?」
「・・・この声、まさか!!」
「梶もそう思うたか?みやこ、今すぐ海ん中レーダーで調べい!」
「えっ、海中を?構いませんが某にはイミフなので教えてクレメンス・・・えっ?海底から何かが急激に浮上して来ます!」
「海底から?雪菜艦長、どう言う事なんです?」
「・・・最悪なタイミングで、最低な野郎が来よったわ・・・!」
苦虫を噛み潰したような表情をしながらの雪菜の言葉は的中し、ラゴウとゴジラの間の海面から激しい瀑水と共に姿を現したのは、数週間前に大阪に大きな被害を残し、悟藤隊・菖蒲「弐番隊」を全滅させた怪獣・・・大悪獣・ギヴァークであった。
ゴォォォォォォヴウウウウ・・・
ディガアアアアアアオン・・・
ギヴァークの出現に、大阪で一戦交えたゴジラも激しく警戒。
目線をラゴウからギヴァークに変え、咆哮で威嚇する。
「あいつ、前に大阪をめちゃくちゃにした野郎じゃぞい!」
「まさに悪魔、と言う感じ・・・ですね。」
「あいつが、照日隊長達の仇か・・・!」
「あの怪獣が弐番隊を、すずを・・・!雪菜艦長、どうしますか?」
「そりゃ、あいつ最優先に決まってるやろ!あいつはうちら悟藤隊にとって最も憎むべき仇なんやからな!」
「とりあえず、爆雷と魚雷の波状攻撃食らわせとくね!総員、撃て!」
五月雨の指示でラゴウから数十の爆雷が、続けて魚雷が発射され、ギヴァークへと向かう。
だがギヴァークは口から撃った暗黒光線で爆雷を全て撃ち落とし、魚雷に対しては両手と尻尾を海面に叩き付けて起こした水飛沫で照準を狂わせた隙に海面から飛び上がり、誘爆させる事で回避した。
「ええーっ!?そんなかわし方あり!?」
「パワーもスピードもゴジラ並み、いやそれ以上ですか・・・なんなん?」
「ふざけるなよ・・・この野郎が!!」
と、梶は激情のまま勝手に竜頭を開き、メーサー光線をギヴァークへ発射。
だがメーサー光線は先程ゴジラへ撃った時より明らかに出力が落ちており、ギヴァークは右手で易々とメーサー光線を受け止めながら、口からの暗黒光線で反撃。
光線はラゴウの船頭下に当たり、爆発と共にラゴウの船体が激しく揺れる。
「「「ううっ・・・!」」」
「船頭に、光線直撃!!」
「これ以上受けるのはよかんとね・・・!さんのーが、はいっ!!」
操縦室にも強い揺れが襲う中で寺森は咄嗟の判断でラゴウを急激に左斜めに上昇させ、光線を回避する。
「船頭で爆発を確認!近くの乗員は今すぐ消火作業に入って!」
「アイツ、やってくれよったな・・・!でもあんたはようやった、のどか!」
「いえいえ!ふぅ、これでよござっしょね・・・いや、いっちょんよかないと!梶!このばかちん!なしてわがかって撃ったと!!」
「のどかの言う通りや!なに勝手にメーサー撃っとんねんこのアホ!!」
「エネルギー出力、75%にまで低下・・・!梶さん、次のメーサー砲発射はクールダウンが終わるまで、絶対に止めて下さい!」
「ですが、爆雷も魚雷も効かないならメーサー砲しか無いでしょう!」
「そのメーサーも冷却待ちの最中に撃ったら、豆鉄砲も同然じゃろうが!」
「もち付け、梶きゅん。機械は所詮は機械、無理をさせてどうにかなるのはアニメや映画だけだと思われ。」
「みやこちゃんの言う通りだよ、梶ちゃん!『竜胆』がダメになったらラゴウが飛べなくなるどころか、最悪爆発しちゃうかもしれないんだよ!」
「分かってますけど、このまま指を咥えて見ているなんて・・・!」
すると、その時。
ギヴァークの背中を青い一撃が襲い、ギヴァークは仰け反りながら追撃の光線を止め、振り返りながらこちらへと迫る青い一撃の主・ゴジラを睨む。
ゴジラは全く臆する事無く海中から一気にギヴァークと距離を詰め、前転と共にしなる尾でギヴァークへ攻撃を仕掛けるが、ギヴァークはゴジラの尾をさながら真剣白羽取りのように両手で掴んで受け止め、海中から強引にゴジラを引き摺り出すと、そのまま一本背負いでゴジラを海面に叩き付ける。
しかし、ゴジラも負けじと即座に急浮上してギヴァークの腹に頭突きを仕掛け、ギヴァークが怯んだ隙に両手からの爪撃の応酬をギヴァークに浴びせて行く。
ギヴァークもまた両腕でゴジラの顔面を殴り付け、それに対してゴジラもギヴァークの腹に拳がめり込む程のストレートを決め、海上での激しい肉弾戦が始まった。
「ゴジラが、あたくしらを助けた・・・?」
「きっとそうたい!当たり前とね!」
「だからゴジラちゃんは悪いコなんかじゃないって、アタシものどかちゃんもひめちゃんも言ったでしょー?頑張れー!ゴジラちゃーん!」
「・・・悔しいけど、今はうちらの出る幕やないのは事実や。やから梶、はよメーサー砲仕舞え。」
「雪菜艦長も怪獣に、ゴジラに頼るんですか!?怪獣なんかアテにせずに自分達で怪獣を駆逐する為にこの艦は、僕達はいるんでしょう!?それを貴方が諦めるんですか!照日隊長達の無念は、どうなるんですか!」
「やるにしても、クールダウン後でええやろ!今メーサー使っても意味ない言うてんねん!」
「最近の若いモンは10分も待てんのか!全く、ゆとり世代には呆れるぞい!」
「僕はゆとり世代じゃありませんから!」
「ちなみにゆとり世代はざっくり言って1987年から2004年生まれの人の事を指すらしいです・・・明日使えるムダ知識を貴方に。」
「と言うかメーサーは前方にしか撃てないやけん、うっちがおらなロクに当てられんとよ!自分だけでしきりきいなんて、思わんときい!」
「その通り!自分だけで出来ると思い込むのは、慢心そのものだよ?だからそろそろせっさんの言う事聞いといた方がいいかもよー?梶ちゃん?」
「これ以上の雪菜艦長への反抗及び命令違反は、謹慎処分だけじゃ済みませんよ?暫定でも『弐番隊』隊長の身でありながら、それでもその阿呆な真似を続けるのは、あたくしが絶対に許しませんが?」
「梶さん。お気持ちはお察ししますが、ここは雪菜艦長の命令に従いましょう・・・今は機を伺うべき・・・です。」
「・・・上成先輩には申し訳ありませんが、自分はやはり反対です!僕達にはラゴウの必要性を、今なおラゴウの存在を反対する国民達に示す義務があります!なのに怖じけ付くような真似をしては、たとえ無事に帰って来ても国民達から叩かれ・・・」
「・・・!」
すると、その時。
上成が無言で立ち上がり、梶の座席まで早歩きで向かったかと思うと・・・
「えっ?上成先ぱ・・・」
「あんた、いい加減にせいや!!」
「!?」
梶の肩を掴み、右手の力だけで無理矢理立たせてそのまま自分の方へ振り向かせ、左手で梶の胸ぐらを掴んだ。
その表情は「天使」と評される淑やかな普段の様子とは真逆の、眉間に皺を寄せながら四白眼で梶を睨む姿はさながら鬼のような形相であり、完全に不意を突かれ萎縮した梶の脳裏は一気に恐怖心に包まれる。
「あんた、耳付いとるんか!!雪菜艦長が止めろ言うたら、つべこべ言わずにさっさと止めろや!!准将の分際で、何様や思っとんねん!!雪菜艦長は批判も承知の上で、戦況を見極めて判断しとるんや!!子供みたいに自分第一なあんたと違うてな!!つうかクールダウン中にメーサー使うなって、何度も何度も聞いとったんとちゃうんか!?雪菜艦長が折角あんたに同情してメーサー砲任せたのに、意味無いどころか事態を悪化させる事をすなや!!『竜骨』の制御しとるわたしもエネルギー配分の調整すんの、大変なんやぞ!!分かっとるんか!!」
「は、はいぃぃっ!!」
「・・・落ちましたね?カミナリが。」
「あれが噂の『上成のカミナリ』かい・・・ワシも肝を冷やしたぞい。」
「あーあ、だからアタシはそろそろせっさんの言う事聞いといた方がいい、って言ったのになー?」
「わからんちんだからこうなるとね!さっきのゴジラへの攻撃とは状況がちゃうとよ!がられるのも当然ね!」
「せやな?カミナリ収まるまでにクールダウンも消火作業も済むやろうし、梶にとっちゃ最大級の懲罰やからな?」
「見えない聞こえない見えない聞こえない見えない聞こえない見えない聞こえない・・・」
ラゴウ内を上成のカミナリが襲う中、ギヴァークはゴジラを突き飛ばし、海へ潜ると海中から何処かへと向かう。
行き先に見当が付いたゴジラもまた潜水してギヴァークを追い、ラゴウも二体の後を追った。