ゴジラ8‐大神獣メギラ降臨‐
日東新聞本社では、何の前触れも無く現れたノアに志真達だけで無くロビーにいた人々も驚愕を隠せずにいた。
「ノアさん!?」
「えっ、あの人が預言者ノア?」
「以前ここに現れた時もだが、本当に神出鬼没だな・・・」
「ノア、お前ここに何をしに来た!まだあの大阪の怪獣、『ギヴァーク』はまだ現れてねぇぞ!」
『ギヴァーク、その名を知るか。あの罪人から聞いたのか?』
「ああそうだ!何なら瞬と遥ちゃんにも報告済みだぜ!」
「大悪獣・ギヴァーク・・・天地島近辺にのみ伝わる神話に名が残る、神が住まう天と人間を含めた生物が住まう地とを繋ぐ場所、聖域(サンクチュアリ)を守護する大神獣・滅義羅(メギラ)の半身。メギラはサンクチュアリに入り、自身の眠りを覚ました者・罪人全てを神の生け贄として、残りの半身・・・神人(しと)が捧げる事によって復活し、大悪獣が乱した世界を神人の目を通して神が残るべき世界か判断し、世に審判を下す。ギヴァークは大阪に現れた怪獣で、神人は貴方・・・ですね?ノアさん。」
『そうだ。情報を共有しているのは、事実のようだな?』
「・・・何だか、いきなり壮大な話になりましたね・・・」
「俺も正直着いてこれん部分はあるが・・・既に志真も妃羽菜君も、俺達には及ばない所にいるのかもしれんな。」
「それで、ここ最近ギヴァークと共に現れなかったのはラゴウの起動、って言う人類史上最大の大罪を犯すのを待ってたのか?それとも神にお祈りでもしてたのか?」
『両方正解だ。身に余る機械仕掛けの兵器を起動した今、神は人間を許さない。そして我は、迎えに来た。神に許しを賜り、ただ1人だけ存在が許されし人間・・・御前をだ。妃羽菜遥。』
「わ、私を!?」
「要は遥ちゃんを拐いに来たってわけか?そうはさせっかよ!」
『無駄だ。神器の力があろうとも人間に我は止められない。』
ゆっくりとこちらへ歩み寄って来るノアに対し、志真は右手に勇気の結晶を握り締めながら遥を庇うような体勢で彼女の前に立つ。
「ノアさん、何度でも言います・・・どうか、人間を信じて下さい!罪の無い人達を巻き込む『審判』を止めて下さい!」
『何度でも言う。それは出来ない。人間を赦せと言うならば、人間は過ちを犯し、繰り返し過ぎた。それはお前達が最も分かっている筈だ。』
「それでも、私は諦めたくありません・・・!私達人間が、過ちを省みて繰り返さない存在になれる事を。貴方と、分かり合う事を!ラゴウの存在が過ちと言うなら、私達が再び使われないようにします!確かに悪い人はこの世に沢山います・・・ですが、良い人はもっといます!きっと過ちを繰り返さない為に、人間は違う人と出会って、子を成して・・・次の世代に過ちを語り継ぐ。私はそう思います。人間にはまだ、可能性はあるんです!」
『・・・!』
「預言者ノアよ!俺もしがない人間で、嫌な人間は嫌と言う程見て来たが・・・良い人間も沢山いたし、志真のような皆の為にどこまでも動く底抜けのお人好しだっている!この世も捨てたもんじゃない事は、俺が保証する!お前が人間よりも何万倍も生きていると言うなら、人間は滅ぶべきと決め付けるのは早計だとは思わないのか!」
「私はまだ、事態が全て飲み込めていませんが・・・ここで色んな人と出会って、志真さんとお話しして、人それぞれにその人だけの物語があるのだと、最近思うようになりました。そしてその物語を奪う権利は・・・神様にだって無いと、私は思います。私はここで皆さんと・・・志真さんと出会うささやかな物語を、奪われたくはありません!」
「デスク・・・潤さん・・・!おい、聞いたかノア!それでもお前は、神は『審判』を下すのか!」
「ノアさん、もうやめましょう。私達は貴方と、神様ときっと分かり合えます・・・せめて、ラゴウを再び封印するまで待って下さい!」
遥の、志真やデスク・潤の決死のネゴシエーションに、ノアの足が止まる。
『・・・妃羽菜遥。御前は我の使命を、思いを乱す・・・!だがしかし、存在して欲しいとも思う・・・何故だ?』
「・・・それは、『愛』では無いですか?妃羽菜さんに対しての。『LOVE』にしても『LIKE』にしても。それなら、私にも分かりますよ。」
「・・・んっ?」
「潤さん?それって・・・」
『・・・そうか。我は戻っていたのか。人だった頃に・・・ならば、我は我がしたいと思った事を果たす。来い、妃羽菜遥!』
「だから、させっか・・・!?」
唐突に再度向かって来たノアに対し、志真が右手で殴り掛かろうとした、その時。
ノアは両手を合わせて合掌のポーズを取り、両手から発せられた光を志真に当てる。
すると志真は光の柱に包まれ、右手を振りかざしたまま動かなくなった。
「なっ!?」
「「志真さん!?」」
『案ずるな。結界に幽閉しただけだ。「審判」の時が来るのを、そこで見届けろ。』
「ノアさん!今すぐ志真さんを解放し・・・!?」
ノアが今度は遥に光を当てると、遥は瞬く間に意識を失い倒れ、ノアは動かない遥を両手で抱える。
『「審判」を退けたいならば、止めてみせろ。我を・・・メギラを。』
そう一言言い残し、ノアはテレポートで遥と共に何処かへ消える。
「消えた!?し、志真!」
「志真さん!志真さん!」
後に残されたのは、光の柱に囚われた志真と動転するデスクと潤、ロビーで偶然この出来事に立ち会った人々のどよめきであった。