ゴジラ8‐大神獣メギラ降臨‐
「遥ちゃん!こっちこっち!」
「志真さん!」
ラゴウ出撃より約一時間前、東京駅の新幹線改札口前では遥が志真と合流していた。
「お迎え、ありがとうございます。少し心細かったので安心しました・・・」
「いやいや、俺にとってはここは庭みたいなもんだし、女の子を1人で迷わせるわけには行かないからな!さぁて、ノアが現れるまで観光・・・ってわけには行かないんだよなぁ。」
「そうですね・・・逆にそうで無ければ、是非志真さんと瞬さんと一緒に観光がしたかったです。」
「それが当たり前だって。こんな事で東京に来たくも無かっただろうし、おばあちゃんも行かせたくなかっただろうしな・・・だからこそ俺達で絶対にノアを止めて、この東京を一緒に楽しもうぜ!」
「はい!必ず守りましょう・・・この街を、この世界を。では、連れて行って下さい・・・志真さんのお仕事場に。」
自衛隊本部では、瞬が東・西と共に格納庫内にて待機していた。
以前遥に言われた通り、謎の怪獣及びノアがラゴウの前に現れた時に即座に出撃し、東京に来ている遥と志真を拾って小笠原諸島に向かう為だ。
「これでむささびが動かせればなぁ・・・」
「無理を言うな。カイザーギドラ戦に加えてアイヴィラ戦で機体はスクラップ寸前にまで損傷したんだ、今は動かす事すら困難なんだぞ。」
「だから大幅に改造するんだっけか?むささび設計して名付け親にもなった、あの平凡な感じの爺さんが・・・」
「だが、俺は信じている。あの人ならば、必ずむささびを甦らせてくれる事を。それに、戦闘機そのものの性能自体も馬鹿には出来ない。1966年11月3日、『第一回東京航空ショー』に合わせF-104Jが宮崎県から伊豆半島・大島までの直線距離約356kmを約10分21秒、マッハ2の速度で到達すると言う超高速飛行を成し遂げた記録もある。」
「F-104J・・・って、『スターファイター』が!?すっげぇ!!」
「ばか、声が大きいぞ!自分もその逸話は聞いた事がありますが、例えるなら東京から大阪までを約10分で飛んだ事になりますね。」
「そうだ。エンジニア達は常に限界のその先を目指している。今も昔もだ。力は、技術は使用者の使いよう。その筈だ・・・ラゴウ出撃までまだ時間がある。お前達にもこれを見せようと思う。」
瞬は自分の戦闘機のコクピット下から頼黄の手記を取り出し、東・西に見せる。
「「これは・・・」」
「俺の曾祖父、一 頼黄が母に遺した手記だ。俺の自衛隊への配属が決まった日に渡す予定だったようだが、アイヴィラ出現により焼けてしまい、一部分しか遺されていなかった。だが、その部分だけでも曾祖父のラゴウへの、悟藤紫郎への思いを伺う事は出来る・・・」
〇月8日
「竜胆」の核融〇炉試運〇が、無事に終わった。
〇〇紫郎の夢、「ラ『號』作戰」がいよいよ形に
成ろうとしている。
飢〇に苦しむ数多の国民の血税を、
神風と言う数々の無意〇〇犠牲を経て。
お国の為にと、学〇〇頃から苦も楽も共にして
来た友として、私は彼奴を止めねば為らないと
思いつつも、大日本帝〇〇平和と未来への切望、
戦争に〇〇を奪われた彼奴の覚悟、
そして内心を慮るならば其〇は許され無い。
もう、後戻りは出来〇〇のだ。
〇〇〇5日
〇〇からの手紙を見た紫郎、大いに悩み苦しむ。
〇愛の妻が、飢餓の末に果てた。
〇れは終わらぬ戦争の犠牲か、
〇れ共「ラ『號』作戰」の犠牲か。
〇が、彼奴はもう止まれ無い。
大日本帝国安泰を渇望す〇〇は、最早彼奴一人
では無い。
「ラ『號』」の完成〇〇力を尽くす者達も又、
紫郎と同類なのだ。
此の様な事を書けば、〇国民と蔑まれるのを覚悟
の上で書か〇〇〇う。
紫郎に、生き〇〇〇〇しい。
〇〇〇日
〇藤紫郎、突如硫黄島決戦への参加を願い出る。
〇〇『號』作戰」を手放し、只一つだけ残った
息子を置き去りにして迄、参加を願ったその理由
を、私なら理解出来る。
〇〇は「ラ『號』」を、手放したいのだ。
〇〇て其れは詰まり、戦場での玉砕を覚悟して
居ると言う事。
成らば、私も覚悟を決めねば為ら〇〇〇
彼奴を失う事と、其の死〇〇〇〇〇〇〇〇〇
其の覚悟を。
〇月10日
〇〇島決戦にて、紫郎は壮絶なる玉砕を経た。
〇〇りこう為ってしまった。
〇〇然し、其れこそが奴の願いだ。
〇〇〇」計画は、「ラ『號』」は画竜点睛を欠いた
侭、動く事は無いだろう。
私〇〇た、それを願って居る。
〇〇て私は、友の〇〇言う罪を背負って行く。
私の〇令に拠る結果であったとして、永久に。
〇〇〇日
大戦が、我ら大日本帝国の完敗で終わっ〇〇年。
もし「ラ『號』」が在ればと、叶ってはならぬ一抹
の思いを願〇〇つ、私は〇畜米兵達に支配された
〇〇で空将として、傀儡に成り下〇〇〇〇本軍を
支える身と成る。
この〇辱と、虚無と、友の死を胸に仕舞いながら、
私はただ願う。
「ラ『號』作戰」が、再び甦る様な世に為らない事を。
私と紫郎のような思いをする者が、一人でも多く
居ない平和な世が来る事を。
そして、我が子の〇〇が未来永劫平和〇〇〇〇〇
事を。
「・・・成る程。だから瞬殿はラゴウの事を知っていて、悟藤特佐を止めようとしたのですね・・・一 頼黄氏、立派な軍人です。」
「俺・・・何だか涙が出そうです・・・!瞬殿の曾祖父様、お辛過ぎでしょう・・・!」
「ありがとう。曾祖父と母がこの手記を遺してくれた事を本当に感謝すると共に、ラゴウ起動阻止は俺がやらねばならない使命なのだと思った。悟藤とは最後まで反りは合わなかったが、その実力と精神力、自衛隊員としての矜持は認めていたからな。だが・・・正直に言えば、ラゴウの存在や『力』そのものは大いなる問題では無いと思っている。」
「「えっ?」」
「ラゴウは元々連合軍を殲滅する為の兵器だったが、怪獣の脅威から人々を守る『力』ともなるのは間違い無い。『竜胆』も現代で起動する点を想定し、放射線流出については既に原発同様の対策を施してあると悟藤が言っていた以上は間違い無いだろうし、スペックは下がるが核融合炉以外のパワーソースを使用すれば、安全性としては大丈夫だろう。問題は『力』の使いよう・・・今の悟藤の思想だ。奴は自衛隊員としての矜持を忘れ、部下の死に報いると言う私怨に走っている。そしてその為にバラン達が、俺達人類を守る怪獣達がラゴウによって犠牲になる・・・それだけは、あってはならない・・・!」
「自分も賛成です!ラゴウは報復の為の道具じゃない!この国を、国民を守る為の力なんです!」
「やりましょう、瞬殿!ラゴウも訳の分からない怪獣も、俺達が何とか!」
「・・・勿論だ。」