ゴジラ8‐大神獣メギラ降臨‐
『・・・我は、使命を果たす・・・!』
遥からのコンタクトを絶ち切り、今まで何者にも見せた事の無い動揺の表情で口を固く閉じながら、ノアは焼岳から姿を消す。
ノアが次に現れたのは、日東新聞本社の一室・・・志真が段田を保護していた場所であった。
「な、なんだ!?」
「はっ・・・!!く、来るなああぁ!!」
「まさか、お前がノアか!」
『その通り。ならば名乗る必要も、ここに来た目的を果たす必要も無いな?』
「そうだな!なら悪いが、力ずくでも止めさせて貰うぜ!」
志真は左手に光る結晶を握りしめながら、右手でノアに殴り掛かる。
総てを増幅させる勇気の結晶の力を応用し、一時期に自分の腕力を上げた志真の拳は両手でガードしたノアを、瞬く間に部屋の壁に叩き付ける。
『むっ・・・!』
「おお、一か八かだったけど我ながらすっげぇ・・・!いやいや、んな事よりここから逃げるぞ!段田さん!」
「は、はい!」
恐怖心から及び腰で床に倒れる段田をやや強引に起こし、急いで志真は部屋を出る。
「どけどけぇ!!今逃走中なんだよぉ~!!」
「ちょっと、志真さん・・・」
全速力で廊下を走る志真だったが、その前に部屋からワープして来たノアが立ち塞がる。
「げっ、やっぱワープして来たか!だが俺は止まんねぇぞ!段田さんは連れて行かせねぇ・・・」
『その必要は、無い。』
だがノアはあえて右手を振り上げ突撃して来る志真を避け、体の翻し様に段田の頭に触れる。
「えっ?」
「・・・うっ、ううっ・・・!!」
「だ、段田さん?どうしたんだ?」
「うううっ・・・!あ、ああっ・・・!!」
段田は突如頭を抱えて苦しみ悶え始め、全身が薄い光に包まれて行く。
「お前、何しやがった!?」
『神よりの使命を果たしただけだ。我が実力を行使せずともこの罪人、生贄はこれで天に捧げられる。』
「あああああ・・・!!」
暫し後、段田は悶絶を止めて天井を、空を見上げ・・・
「・・・アー、メン。」
先程までの恐怖心が嘘のように安らかな表情のまま、光と共に消えて行った。
「だ・・・段田さん!!お前・・・よくも段田さんを!人殺しが預言者のやる事なのかよ!!」
『殺したのではない。昇天させただけだ。あの罪人はサンクチュアリに足を踏み入れた時点で、こうなると決まっていた。それを我が実行しただけだ。』
「この世からいなくなるなら、死んだのと変わらねぇだろ!」
『何故、そこまであの罪人に拘る?一時出会っただけの存在に。』
「それがこの俺、志真哲平・・・いや、人間ってもんなんだよ!それにお前、遥ちゃんからこう言う事はもうすんな、って止められときながら・・・遥ちゃんの気持ちを、悲しみを、願いを無視するような事してんじゃねぇよ!神様に仕えてるってなら、俺達人間より神聖な存在ってなら・・・純粋で悪意なんてこれっぽっちも無い、ひたすらにお前を信じた女の子を泣かせるような事、してんじゃねぇよ!!」
『・・・御前は力だけでは無い、言葉と言う拳を向ける者か。「神器」の所有者に選らばれるのも必然、と言う訳だな?
然し、審判の時は止められない。これは神の意志なのだから・・・』
ノアは目を瞑り、その場から消えた。
そして、段田を守れなかった事に打ちひしがれる志真の元へ、遥からのメールが届くのだった。