ゴジラ8‐大神獣メギラ降臨‐
翌日、焼岳の石碑の前にノアの姿があった。
背後にはバランに駆逐されたクモンガの脚が転がっており、ノアは無言で石碑を見つめる。
『・・・人間達よ、機械仕掛けの身に余る力をまたしても求めるか。ならば、「審判」の時は・・・』
ーー・・・アさ・・・ん!
『!』
と、その時ノアの脳裏に唐突に、聞き覚えのある声が聴こえて来た。
ーー・・・ノア・・・さん!
『この声、少女か?』
ーーよ・・・やく、聴こえました・・・
はい、私で・・・遥です。
『「神器」を使い、直接我に語り掛けたのか?』
ーーはい・・・いつもモスラと交感しているみたいに・・・ってみたら、上手く行きました。初めてお会いした時、結晶が見た事の無い光を放っていました・・・
それなら、もしかしたら貴方に語り掛けられるかもしれない・・・思いまして。
『「神器」をここまで扱うとは、感心だな。それで、用件は何だ?』
ーーもう、人を消すのは止めて下さい。
昨日志真さんから聞きました・・・貴方は「サンクチュアリ」なる地に入った調査隊の人を、続々と消していると・・・それが、貴方が人類に審判を下す為の儀式であると・・・
『審判、あの人間の書物に書かれていたのか。だが我は神の意志の代弁者、全ては神の召すまま。我に決定権は無い。』
ーーそうかもしれません・・・ですが、貴方は迷っているのでは無いですか?
『迷う?我が?』
ーーだって、貴方ならもっと早く全ての調査隊の人を消して、審判の時を導く事は出来た筈・・・ですが貴方は「預言者」として人々を試したり、私の言葉に耳を貸してくれました・・・それは貴方が、人間をまだ完全に見捨てていないからでは無いですか?
それなら、お願いです・・・神様に、人々をもう少し信じて欲しいと伝えて下さい。確かに「ラゴウ」と言う力を使おうとしていますが、きっと人々は力の使い方の過ちに気付くと、私は信じています。だから・・・
『残念だが、審判の時は止められない。我が決める事では無いのだ。我の意志は、神には及ばない。』
ーーそんな・・・!
『・・・だが、少なくとも我の中には例外(イレギュラー)はいる。生き残るに足りる、存在が。』
ーー例外・・・?
『・・・それと、これが最後の「預言」だ。
「此の国の古き遺物が目覚める時、大悪獣が現る」。
確かに、伝えたぞ・・・』
ーー待って下さい!ノアさ・・・
遥が静止の言葉を言い終わる前に、ノアは一方的に交感を切ってしまった。
「・・・・・・!
ダメ・・・繋がらない・・・!」
一方、学校の屋上からコンタクトを取っていた遥は息を切らしながら再度ノアとの交感を試みたが、何度試しても再び彼と繋がる事は無かった。
「・・・やっぱり、私に出来るなんて無いのかな・・・?私じゃノアさんを、止められないのかな・・・?」
ーー・・・だが、少なくとも我の中には例外(イレギュラー)はいる。
生き残るに足りる、存在が。
「・・・ううん。やっぱりノアさんは迷ってる。だから私に『預言』を残して・・・私の言葉を、途中までだけど聴いてくれたんだ・・・
私、諦めない・・・必ずノアさんを、止めてみせる・・・!」
揺るがぬ意志を目に宿し、遥は携帯を取り出して志真・瞬へのメールを打つのだった。