ゴジラ‐世紀の大怪獣‐





翌日、自衛隊本部の会議場に上官達が集まり、会議をしていた。



「その後、消えた二体の行方は?」
「影も形も掴めていないのが現状だ。」
「そうか・・・」
「だが二体は再び日本に上陸する可能性が非常に高い。今の内に何か対策を立てておかねば。」
「そういえばバランの他にもう一体、黒い怪獣がいましたな。あの怪獣に名前は?」
「無い。しかし上陸する危険性がある以上、バランと識別する為の固有名詞は付ける必要があるな。」
「じゃあ、こんなのどうでしょう?」



そう言って1人の上官が取り出したのは、今日付けの日東新聞だった。



「新聞?それがどうしたんだ。」
「ちょっと、面白い記事があるんだよ。」



上官は新聞を捲り、とあるコラムを上官達に見せる。
そこに書かれていたのは、志真が書いた記事であった。



「えっと、『謎の黒い怪獣について』?」
「読んで見てくれ。」
「うむ・・・
『私が調査した結果、この怪獣の出発点は4日前、現在も理由が判明していない謎の大爆発が起こった神島である事が、有力視された。
更に神島には4年前、抹原博士率いる化学者チームが訪れ、研究所を作って密かに何かを研究していた。
あくまで仮説だが、私にはその施設と黒い怪獣に何か関係があるのではと思う。実際に私は調査船「あかつき」で自衛隊員と共に神島へ赴き、研究所とおぼしき跡地があったのを目撃している。
加えて跡地から「GODZILLA Project(ゴジラプロジェクト)」と書かれた、謎の研究冊子の表紙も見つかっている。
今後の調査結果は随時、このコラムで書いて行きたいと思っているが・・・私としては素性が一切の謎に包まれながら、まるで破壊を繰り返すバランを止める為に立ち向かったかのように思える、もしかすれば我々人類の味方ですらあるかもしれない、市原市と人々をバランの脅威から救ったこの黒い怪獣に、前述の冊子の題名から「ゴジラ」と名付けたいと思う・・・』か。」
「どうだ、凄いだろう。」
「ふん、こんなもの三流ジャーナリストが書いた駄文だ。」



別の上官が悪態を付くが、一斉に上官達からの痛い視線を浴びた。



「そういうあんたはずっと黙ってるけど、なにか怪獣に対する一流の対策でも、怪獣の一流な名前の一つも浮かんだのかい?」
「そ、それは・・・」
「少なくとも、我々以上に情報は把握している様だし、一流とは言えないが文からこの怪獣に対しての情熱は感じる。それに確かな情報も無いのも事実。ここは、思い切って乗ってみよう。」
「・・・分かった。」
「私も賛成する。」
「私も。」
「・・・これを持って、黒い怪獣を『ゴジラ』と呼称する!」
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