ゴジラ8‐大神獣メギラ降臨‐







「・・・おっ、バランが勝ったみたいですぜ!」
「そのようだ。やはり、俺達が出る幕では無かったか。」
「これで、肩の荷が一つ降りましたね。」
「あぁ。そろそろ時間だ・・・行くぞ。」
「「了解!」」



国会議事堂の控え室では、瞬と東・西がテレビで焼岳での怪獣出現の緊急速報を見ていたが、バランが焼岳から飛び去ったのを確認し、クモンガを駆逐したと判断した彼らはテレビを消し、部屋を出た。



「自分達にとっては、本当の戦いはこれからなんだがなぁ・・・」
「おい、東!気持ちで負けたらこっちが負けるんだぞ!瞬殿が勝つように、俺達が気張らねぇと!」
「これに関しては、西の言う通りだ。俺達は負けられない・・・」


ーー・・・それも、お前が不安要素を取り払ってくれたお陰だ。
感謝するぞ、バラン。



瞬は懐に仕舞った「知恵」の結晶に触れながら、密かにバランへ感謝の思いを伝え・・・自分達にとっての戦場である、特別国会の場へ向かった。





「悟藤特佐、今一度聞く。本当にラゴウを起動させる気か?」
「何度も言わせんで下さいよ?うちは『対獣条約』の元にラゴウを運用し、怪獣の脅威から国民を守ります。」
「それに辺って、改めてあたくし南野みなみ航空一尉より『ラゴウ』について説明させて頂きます・・・
第二次世界大戦中、膨大な戦力差のある連合軍に対抗する為に旧日本軍は国民の血税を極秘に投入し、戦艦を越える超弩級兵器を建造する『ラ「號」作戰』に着手。その第初號機にしてマザーシップとして建造されたのが『ラゴウ』です。大戦末期には完成一歩手前まで建造され、神風特攻と言う非人道的な手段まで用いられたのはラゴウ完成までどうにか戦線を維持しようとしたのでは無いか、と言う疑惑もある程です・・・が、建造の責任者だった悟藤紫郎一佐が突如1944年8月10日の硫黄島決戦に参加し、そのまま戦死した事でラゴウ建造は凍結され、一年後の1945年8月15日に第二次世界大戦は終結。後に発足した自衛隊の専守防衛精神としては過剰戦力になり得る事から、自衛隊と歴代総理大臣が内密に管理していた・・・と言うわけです。
そのラゴウには現代兵器をも超える各種武器がふんだんに搭載され、特に現在諸外国で研究が進んでいるマイクロ波によって目標を焼却する『メーサー』技術を戦艦の主砲代わりに搭載しており、いつか諸外国からの侵略行為などで起動せざるを得ない危機的状況が来た時の為、内部機構は自衛隊上層部によって最新兵器と同様の物にアップデートされている事から、戦力面でも搭乗員の確保の面でも申し分無いかと。」
「そんなとんでもない超ド級兵器だったなら、確かに迂闊に動かせないわけね?」
「旧日本軍も余計な事をしてくれる・・・」
「そもそも、実在するとは言えそんな超兵器が動くのか?電力バッテリーで動くむささびですら約16時間の充電が必要なんだぞ?」
「まさか、小さい発電所でも積んでるんじゃねぇか?もしくは核融合辺りを使った超強力なエンジンとか・・・」
「・・・その通りだ。ラゴウの動力は、『竜胆(りんどう)』と呼ばれる小型核融合炉。つまりラゴウは、動く原発と言う事だ。」
「「えっ!?」」
「「「「「!!」」」」」



瞬の口から飛び出したラゴウ最大の秘密に、国会は再び阿鼻叫喚となった。



「そ、そんなものを運用して良い訳があるか!!」
「非核三原則に堂々と反しているじゃないか!」
「「「「そうだそうだ!!」」」」
「そんな兵器が存在している事自体が間違いなのに、君はその禁忌の兵器を使って日本を守れると思っているのか!?」
「「「「その通り!!」」」」
「ご静粛に願います!!ご静粛に!!」
「勿論、ラゴウを運用するリスクは全て承知です・・・その上でラゴウは対怪獣用戦力としてのみ運用し、もしラゴウが轟沈された、もしくは対怪獣戦力以外に使用された場合は総理大臣とうちが全ての責任を取って、辞任及び死罪を受けます!これも総理は了解済みです!日本を軍事国家には、絶対させません!」
「そ、そう言う問題じゃないだろう!」
「そのラゴウを運用しようと言う事そのものが、重大な罪では無いのか!」
「日本の外交的な孤立が起こったり、逆に諸外国からこの国が狙われる可能性があるんだぞ!」
「「「「「そうだ!!」」」」」
「・・・じゃあ、もし今まさにゴジラが東京で暴れたとして、戦車でどうにかなるん?戦闘機で追い払えるん?護衛艦で上陸阻止出来るん?そんなん、無理に決まっとるやろ!ならいっそアメリカとかロシアとかに頼んで、戦術核使わせて貰えばええ・・・?そんなん、唯一の被爆国でやったら絶対アカン事でしょうが!!なら核が動力、心臓部だろうが国民を守る為の超兵器を今こそ使わなアカンのです!
それに、非核三原則言うときながら日本にいくつも原発があるのも本来はアカンのとちゃうんですか?それでも原発の存在が許されてるんは、国民が平和に暮らす為のエネルギーが必要やからでしょう?それって核を、『文明の火』を平和の為に使ってる事にはならへんの?核を作らず持ち込ませない、そう言うても結局近いのを持ってはいるんは、火力でも風力でも水力でも地熱でも賄われへん、莫大な電力がいるからやろ?ラゴウは日本を守る力の為に核が必要やっただけで、そこに悪意なんて無い・・・むざむざ肉の壁以下の防衛力の為に隊員を死地に送り込むくらいなら、禁断の心臓を持ってようが誰も死なせへん、確実に相手を倒せる力のあるモンをぶつけた方がええ・・・うちは、そう思います。」



雪菜の真剣な熱弁に、怒号と混乱に満ちていた国会が沈黙する。



「・・・悟藤特佐。無駄な犠牲を生まずに確実にこの国を、人々を守る為の力が必要である・・・その点には一定の理解はしよう。だが、それが暴論であるのもまた事実。『文明の火』を使う事のデメリットや負の面から、目を背けてはならない。」
「分かっとりますわ、瞬特佐。でも悟藤紫郎・・・うちの祖父と一緒にラゴウを造ろうとしてた盟友・一 頼黄の孫・・・あんたやからこそ、うちの気持ちが分かるとこもあるんとちゃいます?」
「その通り。しかし、だからこそ俺はお前を、『対獣条約』締結とラゴウ出撃を止めなければならない・・・必ず。
それと、お前の思想や言動は益々ブリュー元特佐に近付いている事も、付け加えて警告しておく。」
「あの人は誰の言う事も聞かずに自分勝手にやらかして、結果祖国を失墜させた・・・要はやり方がアカンかっただけや。『対獣条約』って言う怪獣に対する法的対抗手段や、非核三原則への矛盾については強ち間違ってへんって、うちは思う。やからうちはちゃんと事前に関係各所に筋を通した上で、是非を問うわ。これでみんながアカン言うなら諦めるし、ええって言うなら遠慮なくやる。決めるんはうちと総理だけやない、ここにおる皆様方って事や・・・な?ちゃんとフェアな条件やろ?」
「・・・ならば、俺達も全力で相手させて貰おう。たとえどれだけエゴイズムと言われようとも、『対獣条約』及び条約に付随したラゴウ出撃は間違っている。俺はそう思っているからな。」
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好釦