ゴジラ8‐大神獣メギラ降臨‐
翌日、北アルプスこと飛騨山脈の山々の一つである、長野県と岐阜県に跨がる百名山の一つに数えられる活火山・焼岳。
北峰と南峰の間の火山湖に石碑が現れたと聞いてやって来た登山者達を、恐怖が襲った。
キャキャァッ・・・
登山者を襲う、六つの青い目と八つの太い脚を除いて正しく巨大な蜘蛛と形容出来る程に蜘蛛に近似したフォルムを持つ大蜘蛛怪獣・クモンガ。
登山者達はクモンガの口から吐く粘着力のある白い糸に瞬く間に全身を絡め取られ、身動き一つ取れないでいた。
「俺達、食べられるのか・・・!?」
「いやあああああ!!来ないでえええっ!!」
「無茶苦茶デカイ蜘蛛ってだけで見た目最悪過ぎるのにこんなのに食われて終わるなんて、ふざけんなよぉ!」
「もう・・・終わりだ・・・」
登山者達の恐怖が頂点に達する中、クモンガは餌としか見なしていない彼らへ口を開きながら迫る。
グウィウウウウウウン・・・
と、その時。
一つの咆哮と共に吹き荒んだ強い風が登山者からクモンガの糸を振り払ったかと思うと、空中から飛んで来た複数の棘がクモンガに直撃した。
クモンガは捕食を止めて棘と風が来た背後へ振り返り、その六つ目に見えたのは荒地に着地するバランであった。
「バ、バランだ!」
「あたし達を、助けてくれたの・・・?」
「ならとっとと逃げんぞ!こう言う糸は火が効くってな!」
「ありがとう!バラン!」
登山者達は慌てて絡まる糸を手持ちのライターで燃やして切りながら下山し、それを確認したバランは再び皮膜を広げて強風をクモンガに浴びせる。
だが、クモンガは空へ向けて何本も糸を吐くとあえて強風の中ジャンプし、糸をまるで簡易な気球のようにして風を利用して宙を飛んだ。
これは蜘蛛の幼体が遠くの地へ渡る為に行う「バルーニング」と呼ばれる行為であり、強靭さとしなやかさを兼ね備えたクモンガの糸だからこそ可能な手段である。
キャキャァッ・・・
自身が知り得なかった手段に驚くバランに、すかさずクモンガは先端に複数の糸を絡めた特殊な黄色い糸をバランへ吐き、糸はバランの目の前で蜘蛛の巣のような形に広がり、バランの全身に絡み付く。
クモンガの秘技「強縛デスクロス・ネット」だ。
バランは苛立ちながら風を起こしてある程度身体の糸を振り払い、風を使った戦法が不利と判断したバランは飛翔してクモンガへ近距離戦を挑むが、クモンガはバランの飛翔時に起こる風をも利用して再度バルーニングを行い、バランの爪を回避。
バランもまた全身に残る毒性の糸の影響で上手く身体が動かせず、中々クモンガを捕まえられないままクモンガが口から吐いた毒針を右側の皮膜に受けてしまい、バランスを崩して焼岳の山肌に衝突。そのまま麓に落下しまう。
グガアアアン・・・
クモンガは北峰の山頂付近に掴まり、再びデスクロス・ネットでバランの身体を絡め取ると八本の脚で山肌を勢い良く駆け降りながら、毒針をバランへ飛ばす・・・が、バランは身体を丸めて一回転して満月輪を放ち、クモンガの足を止めると同時に目眩ましをする。
閃光が止んだクモンガが次に見たのは、高速で自分へ向かって来る先程バランへ飛ばした筈の毒針であった。
キュキャァ・・・
毒針はクモンガの顔に刺さり、苦悶しながらクモンガは麓に落下した。
そう、バランはクモンガの毒針が自分の首元を狙っていると予想し、毒針が刺さる寸前に瞬時に左手で掴み取り、満月輪で目眩ましした隙に風で速度を付与しまるで銃弾のようにした毒針を、クモンガへ返したのだ。
再度風で糸を振り払ったバランは岩流を使って岩塊でクモンガを宙に弾き、皮膜を広げて飛翔しながらクモンガへ接近すると脚を両手で掴んでクモンガを空中で振り回し、空へ投げると共に空気を吸って口内に真空の弾丸を生成。
毒と岩塊の一撃で弱ったクモンガにバルーニングをする余力は無く、無抵抗のままバランが放った真空圧弾を受けたクモンガは爆発四散した。
キャキャァッ・・・!
クモンガを撃破したバランは勝利の咆哮も上げず、穴の空いた右側の皮膜を神妙に見つめる。
少々の時間を掛ければ自然に皮膜の穴程度は自治出来るのだが、バランはその猶予すら無い「何か」が近い内に起こる・・・そう予感していた。
グァウウウウ・・・