ゴジラ8‐大神獣メギラ降臨‐
数時間後、怪獣は堺から難波方面へと大阪を進撃。
悟藤隊とはまた別の戦車大隊を一蹴しながら、暗黒光線で建設中の天王寺・あべのハルカスや通天閣を真っ二つに叩き折り、大正方面へと向きを変えて3年前に「大阪ドーム」から改名した京セラドーム大阪を目指していた。
「あいつ、とんでもないヤツだな・・・三魔獣とかでさえ、自衛隊はもっと粘れてたってのに・・・」
京セラドーム付近には、梅田から移動して来た志真がいた。
遠方からでも分かる怪獣の蹂躙劇を見ながら、志真は懐から金色の指輪・・・「勇気」の結晶を取り出し、右手で強く握り締める。
ーー・・・やっぱ、思っちまうよな。こんな時、ゴジラがいればって・・・
でも、そんなに都合良くあいつがすぐ来てくれるわけ・・・
ふと、ゴジラを求める志真の右手の結晶が僅かに蒼く光り、それと共に志真の脳裏に一つの意志が語り掛ける。
ーー・・・えっ?
ゴォォォォォォヴウウウウ・・・
と、怪獣が咆哮を上げたかと思うと悟藤隊・弐を全滅に追いやった大跳躍を使い、一気に京セラドームとの距離を詰めた。
怪獣は志真の近くに着地し、瓦礫と人々を散らしながら志真を禍々しい黒い両目で捉える。
「うおっ!?い、いきなりかよ!」
ーーこいつ、まさか俺を狙って来たのか!?
なんで・・・はっ、この結晶?俺がゴジラと交感したのを察したのか?
理由は分からねぇが・・・今まさにガン付けられてるのが、その証拠だよな?
「・・・俺に用か?謎の怪獣さんよ?だが悪いな、お前の相手をすんのは・・・」
すると、その時。
木津川に青い閃光が瞬き、暫し後に突如川から青い熱線が怪獣目掛けて放たれ、怪獣の胸元に直撃。
奇襲を受けた怪獣はバランスを崩して転倒し、木津川に水柱が立ち・・・
「こいつだぁ!!」
ディガアアアアアアオン・・・
不敵な笑みを浮かべる志真の叫びに応えるように、ゴジラが姿を現した。
先程志真が聞いたのは、もうすぐ自分の元にやって来ると言うゴジラからの声であったのだ。
「頼んだぜ・・・ゴジラ!」
グルルルル・・・
志真からの呼び掛けに相づちを打ち、ゴジラは再び起き上がった怪獣へ向かって行った。
ゴジラは再度放射熱線を撃って怪獣を志真から遠ざけようとするが、怪獣は熱線を跳躍でかわし、ゴジラの真上を取った怪獣は体を捻らせながら急降下して尻尾でゴジラの首元を叩き、続けて放った巨腕を生かした掌底でゴジラを地面に叩き付ける。
グアアアア・・・
着地した怪獣はゴジラにマウントを取り、拳の連撃をゴジラに浴びせて行くが、ゴジラも両手でパンチをガードしてどうにか胴体へのクリーンヒットを回避する。
業を煮やした怪獣は口を開き、暗黒光線をゴジラへ吐こうとするが・・・
「負けるな!ゴジラ!」
志真の結晶から流れる意志の力を受け、パワーが倍加したゴジラは全身から放射波動を放って怪獣を吹き飛ばし、起き上がって怪獣に放射熱線を放って追い撃ちを与えた。
ギャアアダアアアア・・・
熱線を受けながらも怪獣は暗黒光線でゴジラに攻撃。互いに光線合戦を止めて一旦体勢を立て直し、今度は接近して両手で取っ組み合う。
怪獣の比類無き怪力にゴジラはみるみる押されて行くが、志真からの力と発揮した底力を足して怪獣を押し返し、怯んだ怪獣の顔に尾の一撃をぶつける。
二発目の尾の一撃を怪獣は跳躍で避け、両手をクロスして巨腕のラリアットをゴジラの脳天に叩き付けようとするが、怪獣の動きを完全に見切っていたゴジラは空中ラリアットをすんでの所で回避しながら、すれ違いざまに背鰭で怪獣の両腕を切り裂く。
怪獣は着地に失敗しながらも、即座に跳躍して京セラドームを挟む形でゴジラと距離を取り、暗黒光線を撃つ。
ゴジラもまた放射熱線を撃ち、ぶつかり合う光線は大爆発を起こし、京セラドームが一瞬で破壊される。
「うぐうううっ・・・!!」
大爆発による爆風に吹き飛ばされそうになりながら志真はどうにか踏ん張り、やがて爆風が収まった時、怪獣は姿を消していた。
「っ・・・あの怪獣、いつの間にいなくなったんだ・・・?」
志真が辺りを見渡すも怪獣は何処にも見あたらず、代わりにゴジラの足元で泣く少年を見付け、駆け寄る。
「君、大丈夫か!」
「ううっ・・・ぼ、ぼくはだいじょうぶ・・・だけど、パパとママがどこにもいない・・・うわああああああん!!」
「俺も探してやるから、もう泣くな。ほら、俺と一緒に・・・」
少年を連れ出そうとする志真を、結晶を介して何故かゴジラは静止する。
ゴジラが尾を上げながらその場を退くと、そこには男女・・・少年の両親がいた。
「あっ、パパ~!!ママ~!!」
「え、瑛人!?」
「えいと~っ!!」
「うわああああああん!!」
少年・瑛人と両親は一目散に駆け寄って抱擁し合い、大粒の涙を流して再会出来た感動を分かち合う。
彼らはゴジラの足元にいた事によって、爆風の被害から逃れられたのだ。
「・・・流石は正義の大怪獣だな!ゴジラ!」
志真は笑顔でゴジラにサムズアップしてこの家族を・・・人々を守った事を讃え、ゴジラもまた頷いて応える。
無事だった人々も瓦礫の陰からゴジラを見上げ、羨望の眼差しで正義の大怪獣の功績を讃えるのだった。
『・・・あれがゴジラと、神器の所持者か。よもや、ギヴァークと互角以上の力を持つとは。他の所持者共々種族の違いを越えた絆、その間の力の境地に至ろうとしているようだ。御前達のような人間が、多数だったなら・・・いずれにせよ、御前達とて「メギラ」には敵わない。神罰の刻は、止められない・・・』
そして、大破した京セラドームのスタジアムの爆煙の中、ノアが海に去るゴジラと見送る志真を密かに見ていた。