ゴジラ8‐大神獣メギラ降臨‐







ゴォォォォォォヴウウウウ・・・



堺市の中心街では、突如地面を突き破って現れた怪獣が街を破壊していた。
その怪獣の外見は、西洋の悪魔のような顔立ちだけでなく、鮮血に似た色の表皮は血の池地獄、背中に生えた無数の鰭は灼熱地獄、長い尾から突き出る無数の棘は串差し地獄、肥大化した両腕は閻魔大王が持つ棍棒を彷彿とさせる、まさに地獄を体現するかのようであった。
怪獣の腕の一振りはビルを容易く真っ二つにし、尾の一撃は道路を粉微塵にした。
人々は四方八方に逃げ惑う事しか出来ず、怪獣の破壊活動に巻き込まれた人々は容赦なく地割れに落ち、宙を舞い、倒壊する建物に潰され・・・動かなくなった。



「こちら悟藤隊・弐、現場に到着。」



しばらくして、まさに「地獄絵図」と化した街に戦闘機隊が飛来した。
彼ら・・・いや、彼女達は雪菜直属の部隊「悟藤隊」の航空自衛隊に所属する者達、通称「弐番隊」であり、怪獣出現から総理大臣による出動許可を受けるや千僧駐屯地から部隊専用の戦闘機格納庫及び滑走路がある大阪国際(伊丹)空港へ移動、迅速に出撃して怪獣が堺市から出る前に到着したのだった。



「・・・主な生存者、目視で確認出来ず。」
「よって、我ら『悟藤隊』による意図的では無い国民への攻撃は、やむを得ないと判断する。」
「実弾攻撃は既に許可されている。総員、直ちに目標の怪獣を攻撃せよ!」



部隊長の女性隊員・照日(てるひ)すずがそう指示するや、戦闘機群は一斉に怪獣へミサイルを発射した。
一糸乱れぬ攻撃は全て怪獣に命中するが、怪獣は意にも返さず口から漆黒の光線「暗黒光線」を空の戦闘機群目掛けて吐く。



「総員、回避!」



だが、怪獣の光線攻撃を予想していた部隊は左右に分かれて回避。
一機も撃破される事無く、再度フォーメーションを組んでミサイル攻撃を続ける。



ゴォォォォォォヴウウウウ・・・



すると怪獣は両手足を屈ませ、急激に跳躍。
一気に戦闘機群との距離を詰め、両腕を突き出しながら旋回して三機の戦闘機を叩き潰した。



「そんな・・・!?」



隊員達が一瞬動揺する間に、怪獣は暗黒光線を吐いて更に四機の戦闘機を撃墜。
隊長機含む残る三機は怪獣と距離を取ろうと全速力で空中へ上がろうとするが、怪獣はアグレッシブに宙を舞いながら戦闘機を追い、尾を振り回して二機の戦闘機を叩き落とす。



「も、申し訳ありません雪菜さ・・・!!」



照日は桁外れの怪獣の強さと、厳しくも時に優しく自分を鍛え上げてくれた雪菜への無念に絶望しながら、漆黒の閃光の中に消えて行った。





「・・・雪菜様、たった今『弐番隊』が・・・怪獣により全滅しました・・・!」
「なんやて!?」



東京、国会議事堂の控え室。
対獣条約についての議論が怪獣出現により中断され、総理大臣と共に悟藤隊出動を承認した雪菜の元に、南野からもたらされた悲報。
出動から一時間も経たないこの悲報に、雪菜は愕然とする事しか出来なかった。



「嘘やろ・・・あいつらが、こんなあっさりやられるわけないやんか・・・!ふざけんなや!!」
「雪菜様・・・苦楽を共にしたあたくしとしても信じられない、いや信じたくありません・・・!」






ーー・・・なんや、こんな訓練くらいでへこたれよって!ぶったるんどる!
あんたこの国守る為に自衛隊に、うちの部隊に入ったんやろ!男も女も関係無い!
こんな所で粘られへん奴なんか、この国どころか誰も守られへんわ!ここで諦めるんやったら、自衛隊なんかはよ辞めてまえ!
さぁ、どうするんや?このまま諦めて、そこでずっと座っとくんか!
それともここで根性見せて、気張って立つんか!!



ーー・・・よっしゃ!
じゃあ、これからスイーツ食いに行こか!うちの奢りや!あんた最近頑張っとるんや、たまには心も労ってやらんとな!
ほんまは呑みに行きたいけど、流石に明日演習あるのに行くんはアカンから勘弁してや!
うちがあんたの嫌な事も辛い事も、楽しい事も全部聞いたる!腹割って喋ろか!



ーー・・・なら、2等空尉への昇進決まったあんたを、『弐番隊』の隊長に任命したる!
・・・えっ?そんなん勿体ない?不相応過ぎる?
んな事あらへん!あんたが根性見せてずっと頑張り続けた事は、うちが分かっとる!やから2等空尉になれたんや、これくらいの待遇は当然やろ!
あんたみたいな部下を持てて、うちも鼻が高いわ!やから、これからも気張りや!
・・・ラドンのせいで全滅してもうたけど、やっと復活出来た『弐番隊』、頼んだで?すず。






「・・・やっぱ、怪獣倒すにはそれに見合った『力』が必要なんや。力さえ・・・ラゴウさえあれば、こうやってまたむざむざうちの可愛い部下がやられる事なんかないんや・・・!」



机に拳を叩き付けながら、雪菜は散って行った弐番隊及び照日との思い出を追憶し、南野と共に涙した。
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好釦