ゴジラ‐世紀の大怪獣‐
翌日、東京・日東新聞本社では志真はデスクに一喝されていた。
「全く、勝手な事ばかりしよって!これだからお前は!」
「この事件を、どうしても納得のいくまで突き止めたかったんです!」
「まだそんな生意気な事を言うかこの・・・」
「『半人前』ですか?」
「そ、そうだ!」
「少しは自分でも分かってますよ。俺はまだまだ半人前。ですが、この事件には何だか運命を感じるんです・・・」
「運命だか何だか知らないが、言い訳をするな!そんなに俺に認めてもらいたいのか!」
「違います!!」
机に手を叩き付け、志真が叫ぶ。
その気迫に、流石のデスクも怯んだ。
「違います・・・正直、最初はそんな気持ちもありました。だけど神島をこの目で見て、船から助かって・・・俺は何か、言葉に出来ないものを感じたんです!これは何があっても、俺が最後までやらないといけない事なんだって!だから・・・!」
「・・・そうか。なら、勝手にしろ。」
「えっ?」
「お前が手柄や名声に関係無く、心の底からやりたいと思ったんだろう?それなら、 気の済むまでやれ。」
「デスク・・・」
「その代わり、何があっても決して投げ出すんじゃないぞ!最後までな!」
「は・・・はいっ!」
志真はデスクに深く一礼すると、慌ただしく部屋を去って行った。
「全く・・・本当に勝手な奴だな、あいつは。だが、何処までも勝手にやるのがあいつらしいのやもしれんな。」
部屋を去った志真は、急いである事に関して調べ始めた。
そう、黒い怪獣が通ったルートだ。
――怪獣のルートを辿っていけば、怪獣が出発点が分かる筈・・・
やっとデスクから、ちょっと認めて貰ったんだ・・・絶対に突き止めてやる!
必死に本社中を駆け回り、資料を探し回る志真。
見慣れないその様子に社員達も動揺を隠せないが、当の志真はそんな事を意に返さず、自分が納得する結果が得られるまで走り続けた。
「・・・ふぅ・・・ふぅ・・・」
そして夕暮れ頃、志真はようやく怪獣の出発点を掴んだ。
「やっぱし・・・ここか・・・」
持久走でもした後の様に、全身汗だくになりながら志真は日本地図のある地点に赤いΧ印を付けた。
「ここが・・・あいつの出発点だぁ・・・!」