ゴジラ0‐一万二千年の記憶‐
「・・・やろう、ハルコン。」
ギィウウウウウウウン・・・
マチュピチュ郊外。
激しく抵抗するディラをハルコンが抑え込み、決意を固めたゼマは操縦悍を強く握り、ハルコンはディラを抱えたまま空高く舞い上がって行く。
「・・・いいんだ。これも、僕の運命(さだめ)だったんだ・・・」
ハルコンの首元の操縦室の扉が、何度も何度も開こうとしては全く開かずに終わる。
扉はエンルゥがゼマを狙った光線によって破損してしまい、加えてディラの熱線で制御装置を破壊する際の超高熱で周囲が溶接された事により、完全に開かないようになってしまっていた。
操縦室のゼマは操縦悍を握るのみで、扉の開閉釦には触れておらず、扉の開閉はゼマを逃がさんとするハルコンの意思によるものであったが、脱出する術を失った筈のゼマの表情は、とても穏やかなものであった。
・・・ギィウウウウ・・・
「・・・ありがとう、ハルコン。だけど僕も、君と行きたいんだ。サイワさんが、お父様が・・・姉さんが待ってる、あの空の果てへ。君がいるなら、僕は寂しくも怖くも無い。ディラだって、きっと同じ思いさ。」
嘆きの声を上げるハルコンを、優しい声色でゼマは宥める。
ゼマの言葉を証明するように、飛翔前は暴れていたディラは全く抵抗しなくなり、ぴくりとも動かなくなっていた。
「・・・さようなら、僕の世界。」
暗雲を突き抜け、雲の上の蒼穹に到達するハルコン。
しかしハルコンは更に上空を目指して行き、成層圏に到達したハルコンとディラは摩擦熱で全身を焼かれ、操縦室のゼマを超高熱が襲う。
「ぐうううううううううううっ・・・!!」
全身から汗が吹き出し、大量の水分が奪われ続け、計り知れない熱気に意識を奪われそうになりながらもゼマは歯を食いしばり、頑なに操縦悍を離さない。
ガァウウウウウン・・・
ギィウウウウウン・・・
「・・・ねえ、さん・・・っ!!」