ゴジラ8‐大神獣メギラ降臨‐
しばらくして、東と西はホテルに戻って瞬に雪菜・南野への尾行の結果を報告していた。
「全く、下手すれば弱みを握られるかもしれなかったんだぞ・・・」
「「も、申し訳ありません!」」
「・・・まぁ、悟藤の事だ。お前達の尾行に気付いた上で意図的に情報を流した可能性がある。俺の動揺を促すような情報をな。」
「では、瞬殿は『ラゴウ』をご存知なのですか?」
「詳しくは知らないが、俺の母方の祖父かは少々話は聞いた事はある。第二次世界大戦時、対連合軍用に「ラ『號』作戰」と言う極秘計画の元、想像を絶する超弩級兵器を開発していたらしい、とな。」
「母方の祖父・・・旧日本軍元陸将、一 頼黄(にのまえ らいこう)氏の事ですね?」
「えっ、瞬殿のじいさんってそんなスゴい人だったのか!?」
「ばか、瞬殿に弟子入りを嘆願する前に調べただろう!『「一」って「いち」じゃなくて「にのまえ」って言うのか?』とか言っていたのはお前だぞ!」
「・・・あっ、そっか。そうだったわ。」
「華奢なのがネックとなって入隊は出来なかったが、母さんは自衛隊に入隊したかった、とよく言っていた。思えば母さんから祖父の偉業を聞いた事が、俺が自衛隊を志す切欠だったな・・・」
ーー・・・だからこそ、今も俺が「特佐」として自衛隊にいられるのは、皮肉としか言い様が無いな・・・
「とにかく、最初聞いた時は流石に眉唾物だと思ったが、もし実際に存在して悟藤が確かなエビデンスを持っているのなら、対獣条約成立に妙に強気なのも納得が行く。だが、それは条約成立反対を放棄していい事にはならない。明日も引き続き尽力するぞ。」
「「了解!」」
東と西が自室に戻った後、瞬は窓を開いて眼下に広がる繁華街のネオンに目も暮れず、左手に持った金色の弾丸を見つめていた。
半年前、自らの過去と向き合う切欠となったプラント怪獣・アイヴィラをバラン・ゴジラと共に駆逐した後、モスラ・小美人から託された「知恵」の結晶を。
ーー・・・バランやゴジラが現れる前の俺ならば、これを託される事も・・・これの存在や怪獣との共存の可能性を信じる事も無かっただろうな。
だが、こうして俺は認められた。志真や妃羽菜と共に、怪獣と言う名の異種と人類が力を合わせて生きられる未来を作り出せる存在なのだと。
だからこそ、人類が一方的に怪獣を排他する「対獣条約」は絶対に成立させる訳にはいかない。これは自衛隊と言う組織にいる、俺に与えられた使命だ。
バラン・・・お前と歩む未来を、俺は必ず掴み取ってみせる・・・
弾丸を固く握り締め、瞬は夜空を見上げて誓いを新たにする。
「結晶」を託された自分と、種族を越えた絆を結んだバランとの誓いを。
『・・・この男もまた「結晶」に選ばれし資格を持つ者、と言う事か。』
そして、そんな瞬を向かいのホテルの屋上から、ノアが密かに見つめていた。