ゴジラ0‐一万二千年の記憶‐
一方、サイワの犠牲を持ってゼマは通路に到着。
操縦室は解放されており、後は中に入るだけだ。
「今度こそ消えろ!『操縦室を狙え』!」
エンルゥは目線をサイワからゼマに変え、光線をゼマ目掛けて向かわせる。
「サイワさんの為にも、こんな所でやられてたまるか・・・!」
しかし、ゼマはがむしゃらに操縦室を目指して全力疾走し、滑り込むような形で操縦室への搭乗に成功。
即座に操縦室の入口を閉め、光線を防いだ。
「・・・冷たい。無機質な、本当に機械の中にいる感じだ。制御装置で意志を押さえ付けられてしまったのか、ハルコン・・・でも大丈夫、必ず僕が解放してあげるから・・・行こう、ハルコン!」
以前ハルコンに搭乗した時とは違う感覚を覚えながら、ゼマはハルコンを起動。
全身の神経伝達装置を光らせなから、ハルコンはゼマの操るがままに格納庫の天井を見上げ、熱線で天井を破壊。
「くっ・・・!」
「・・・いけ、ゼマ・・・!」
エンルゥ達が瓦礫から逃げる中、大の字で地に伏しながらサイワは地上へと飛び立つハルコンを・・・ゼマを、何処か自慢気に見つめていた。
グァアアアアアアウン・・・
同刻、遂にマチュピチュへの進攻を始めたディラに対して、ムー大陸に残る七体のレグチュアが全て投入され、ディラの進攻を阻止せんと立ち向かって行った。
「う、うわああああっ!」
だが、ラピュタ戦時と同様にディラに対してはまるで無力であり、石灰弾による視界の阻害を放射能火炎で強引に突破したディラはそのまま一体のレグチュアを火達磨にし、続けて斧を突き付け向かって来た二体目のレグチュアを、尾の一撃で斧ごと粉砕。
「わああああああっ!」
「あ、圧倒的過ぎる・・・!」
兵士達も戦意を失い、ディラを倒す事よりも逃げる事すら考えていた。
レグチュア達は岩塊砲を発射しながら後退し、ディラと距離を取ろうとするが、ディラは熱線で岩塊を全て撃ち落とし、そのまま熱線は避難する市民達が乗る飛空挺へと向かう。
「・・・ディラ!そこまでだ!」
・・・が、そこへハルコンが空の彼方から飛来し、熱線をその身に受けて飛空挺を守る。
「ディラハルコン!?」
「飛空挺を庇ったのか!」
「だが、いくらオリハルコンでもあの熱線を受け続ければ不味いぞ!」
ディラの熱線を受け続けるハルコンの胸部が、少しずつ融解されて行く。
特殊合金砲の発射口はヒヒイロノカネの弾薬ごと熱線で半壊してしまい、次に操縦室のある首元が溶けて行く。
「ぐううっ・・・!でも、これで・・・!」
だが、それこそがゼマの狙いであった。
「これで・・・君も『解放』される!
目覚めろ・・・目覚めろ!ディラハルコン!」
・・・ギィウウウウウウウン・・・!
首元の制御装置が破壊された事で、封じられた意志を解放したハルコンはまるでディラのような咆哮を上げ、黄色の熱線を発射。
熱線はディラの頭部に直撃し、ディラは地面に倒れ込む。
そう、ゼマの狙いはあえてディラの熱線を受けて制御装置を破壊し、ハルコンの意志を取り戻す事だったのだ。
「お帰り、ハルコン・・・そうだ、この包まれるような温かい感覚こそが、君を駆る・・・君と共に戦うと言う事なんだ。」
ゼマの言葉に応えるかのように、ハルコンは伝達装置を明滅させる。
「あとは・・・あいつを、ディラを解放するだけだ!やるぞ・・・ハルコン!」
ギィウウウウウウウン・・・
ハルコンは再び咆哮を上げ、全身の伝達装置を白く発光させながら、背部推進器を限界を越えた出力で起動。
伸びる噴炎はまるでハルコンの一対の光の翼のような様相となり、今までの数倍の速度でハルコンはディラへ突っ込み、ディラをマチュピチュの郊外へと弾き飛ばした。
ガァウウウウウン・・・
ハルコンは光翼を纏ったままマチュピチュの郊外の荒野に着地し、ディラもまた起き上がってハルコンを睨む。
「今度こそ・・・終わらせる!」
グァアアアアアアウン・・・
ギィウウウウウウウン・・・
ディラとハルコンは同時に熱線を発射。
蒼と黄の熱線は激しくぶつかり合い、大爆発を起こした。