ゴジラ0‐一万二千年の記憶‐







それから2人はムー化学研究所の所員達と合流する為、空操機乗場・・・今で言う空港にやって来た。
空操機は大・中・小の3種類に分類され、どれも気象コントロール装置を用いて風・重力の流れを操り、動いているのが特徴である。
無論ここにあるのは全て大型の空操機で、ゼマはかつて小型の空操機を操縦させられていた。



「・・・サイワさん、この目的地って・・・」
「あぁ。オレ達が目指すのはムーの首都・マチュピチュ・・・ここにエンルゥはいる。」
「どうして、そう思うんですか?」
「どうもハルコンはその存在自体がディラを引き寄せるみたいでな、現に前の襲撃の時もハルコンのいるラピュタを狙って来た。ディラの中にある『本能』がそうさせるんだろうが、確かにアトランティス育ちのエンルゥにしたら自分の故郷には来て欲しくないよな。」
「・・・でもその為に、ムー大陸が犠牲になる。また、あの悲劇が・・・」
「それを止める為に、お前に来て貰ったんだ。」


マチュピチュ行きの切符を買った2人は入場口から空操機内に入り、右奥の席に座る。
あと百数人は入りそうな広さだ。



「そういえば、どうして僕でないと駄目なんですか?ハルコンと感応したから、と言ってましたけど・・・」
「それを話す前に、まずお前に『絶望の一夜』について話さないといけねぇ。昔話が好きなお前なら、聞いた事あるだろ?」
「確か・・・『神の使いの怒りに、決して触れるべからず。さすれば天地は怒り狂い、五つの大陸は全て滅び去る・・・』と言うものでした。」
「そうだ。普通の奴ならただの言い伝えで流すだろうが、これは重要な事をオレ達に教えている。これに出てる『神の使い』ってのは、一説によるとジラの事らしいんだ。」
「『神の使い』が・・・ジラ?」
「あぁ。あんまり知られてねぇが、この話の原文が書かれた石碑にはこの『神の使い』が地球の力を糧に生きてるって言う記述がある。そしてジラの細胞はマナを吸収する事で、脅威的な再生能力を得る事が出来る。だからジラはマナが集中的に吹き出していると考えられているムーと、ニライ・カナイにしか生息してねぇ。」
「・・・!だからジラが『神の使い』・・・!」
「そういう事だ。そしてジラの遺伝子を作り替えて化け物を作るなんて、究極の禁忌。どんだけ上手く隠しても、ジラの本能は必ずハルコンの存在を察知する。だから『絶望の一夜』は確実に起こるってわけだ。」
「それで・・・僕が必要な理由は・・・?」
「お前は唯一ハルコンの声を聞いた存在であり、ハルコンを静止出来た者。つまりハルコンの只1人の理解者ってわけだ。『絶望の一夜』を回避するにはただディラをハルコンで倒せばいいってわけじゃねぇ・・・ハルコンと心を一つに出来る、お前じゃねぇと駄目なんだ。」
「僕と、ハルコンが・・・」
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