ゴジラ0‐一万二千年の記憶‐







それから数時間後、ディラが海底に姿を消した事が確認された。
避難していた人々もラピュタへ戻り、レグチュア隊もハルコンを回収してドックに帰還した。



「全く!君と言う人間はなんて事をしてくれるんだ!」



その頃、科学研究所の会議室にはエンルゥの怒号がこだましていた。
ハルコンを降りたゼマはサイワと共にエンルゥに呼び出され、こうして彼からの非難を受けていたのだった。



「あれはまだ最終調整が完了していない!そんな状態であれを出そうなど、君の思考回路はどうかしている!」
「・・・申し訳ありません。」
「そんな台詞で片付くと思っているのですか!下手すればあれがディラに破壊されていたのかもしれない事を、学習しなさい!」
「・・・はい。」
「そ、そこまでにしようぜ。確かにこいつはいけない事をしたけどよ、物事の反省なら人一倍する奴で・・・」



一方的に責められ続けるゼマをすかさずフォローするサイワを、エンルゥは一瞬睨み付ける。
しかしすぐ冷静さを取り戻し、再びゼマの方向を見る。



「・・・サイワ所長の言う通りなら、君には自身がしでかした事を反省して頂かなければいけないね・・・そうだ、君には機密製造室の床を一年間掃除して頂こう。」
「・・・床掃除?よっ、よかったじゃねぇか、少年!心を込めてゴシゴシ・・・」
「ただし、その間君がハルコンに搭乗するのを禁ずる。」
「・・・なっ!?」



喜びから一転、サイワは驚きの声を出す。



「これが君に与える私からの罰だ。一年間、『心を込めて』床を拭いてくれたまえ。君はサイワ所長が連れて来ただけの存在、君の変わりなんて何人でもいるんですよ。」
「お、おい!それはねぇんじゃ・・・」



不敵な笑みを浮かべ、エンルゥは会議室を去って行った。
残されたのは黙ったばかりのゼマと、サイワだけであった。



「少年・・・」
「・・・全て僕の責任です。心を込めて、床磨きをさせて頂きます。」
「た、確かにお前は大変な事をしでかしたのは事実だ。けど、憎くて仕方ない奴が目の前にいたら誰だってああなっちまうし、むしろそれを分からずにお前をここへ連れて来たオレの・・・」
「・・・サイワさんは、悪くありません。」



顔を下に向けたまま、ゼマもまた会議室を去った。
サイワは自責の念から、それを見ている事しか出来なかった。



「・・・くそっ!本当に悪いのは、このオレなのによ・・・!」
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