ゴジラ0‐一万二千年の記憶‐
グァアアアアアアウン・・・
一方、郊外の街ではラピュタ防衛部隊が未だディラと闘っていた。
だがディラに防衛部隊の攻撃は全く通じず、岩塊砲隊は完全に壊滅させられ、今はレグチュアと鉄甲翼機隊が攻撃を行う「第三次防衛線」に入っている。
「鉄甲翼機隊、攻撃!」
鉄甲翼機はディラの回りを複雑に旋回しながら、爆弾攻撃をディラの全身に浴びせる。
更にそこへレグチュアが尾の発射口から灰色の弾丸「石灰弾」を発射し、ディラの周囲を煙で覆ってディラの視界を奪う。
「各鉄甲翼機、レグチュアと攻撃を合わせろ!一斉発射!」
レグチュアの上部に鉄甲翼機隊が一列に並び、それを確認したレグチュアは大砲から岩塊砲の発射する弾丸より少し大きいサイズの岩塊を発射する。
それと同時に鉄甲翼機隊も爆弾を一斉に発射し、岩塊と爆弾の波状攻撃がディラを飲み込んだ。
――・・・頼む、倒れていてくれ・・・!
この国を守る為に散って行った隊員達を思い、密かにそう願う部隊長であったが、爆煙の先にあったのは彼の思いを裏切る光景だった。
グァアアアウ・・・
そこにいたのは波状攻撃を受けてもなお傷一つ無く、こちらに青く光る口を向けるディラだった。
ディラはそのまま体内のマナを込めた息吹「放射火炎」を放ち、鉄甲翼機を残らず撃破した。
「馬鹿なっ・・・!」
残されたのは数体のレグチュアのみになり、ディラは直ぐ様レグチュアへ標的を変える。
レグチュアは岩塊砲をディラに向かって発射するが、これもディラには全く効いていない。
「くっ・・・レグチュアだけでも・・・何とか奴を・・・!」
と、その時。
レグチュアへ敵意を剥き出しにしていたディラが突然歩を止め、空を見つめ始めた。
今までの行動と違い過ぎるディラのこの反応に、部隊も攻撃を止める。
『な、何だ・・・?』
「攻撃を仕掛ける様子は無さそうだが・・・一体何を考えているんだ?」
ディラの目には未だ敵意が宿っている様子だが、それはやはりレグチュアに向けられている物では無く、目線の先にある物に対しての敵意の様だった。
色々と思案する部隊員だが、すぐにその理由は判明する事となる。
「・・・!こちらへ向かって、何かが急速に接近して来る・・・?」
『隊長、この物体の正体は?』
「分からない。増援が来ると言う報告は聞いていないのだが、これはいっ・・・!」
監視装置に写る謎の物体は更に加速し、瞬く間に部隊上空を通過する。
そして物体は急降下し、ディラと部隊の丁度中央に着地した。
『た、隊長・・・あれはまさか・・・』
「間違いない・・・あれは、あの機体こそが「対D専用特殊超機兵器」、またの名を・・・!」
空を見ていたディラも、目の前に降り立った「何か」に目線を変える。
いや、むしろディラはこれを見ていたと言うべきか。
『・・・』
降り立った「何か」は全身を銀色の金属で構築され、長い尾と背鰭状のエネルギー受信装置、何よりもディラと非常に似た形をしていた。
まさにこれは機械仕掛けのディラ、オリハルコンの体を持つ「ディラハルコン」であった。
「・・・みつ、けた・・・!」
ハルコンを操っているのは無論、本来ラピュタの地下に置かれていたハルコンをここまで動かした少年、ゼマである。
今のゼマには最愛の「姉」を奪ったディラへ対する、憎悪しか無い。
「・・・ねぇ、さんの・・・かたき・・・!ぼくが・・・たおす・・・!
ディラァァァァァァァァァァッ!!」