ゴジラ0‐一万二千年の記憶‐





それからしばらくして、アトランティス近海を泳ぐ謎の一団がいた。
彼らは水中服と思われる黒い服を着用し、口には水晶の型をした水中酸素補給機「水晶孔」を付けている。
そして手には現代で言うライフルに似た型をした銃を持っており、これこそ彼らの目的を示す物だった。



「目標まで、570!」
「もう少しだ・・・アトランティス屈指の発電所であるダウガ発電所を破壊すれば、我々の計画は完了する・・・」



そう、この一団はとある国に依頼され、今まさにアトランティスにテロを仕掛けようとしているテロリストだった。
とは言っても彼らの本当の目的はアトランティスへの報復ではなく、その成功の後に待つ多額の報酬である。



「目標まで、320!」
「そろそろだな。よし、撃ち方用意!」



テロリスト達は一旦その場で停止すると、手に持った銃を水面の先にある工場に向けた。
彼らが持っている「凡用銅銃」は銅製故に本来地上の兵士が使う物であるが、彼らの銃は水中からの攻撃に対応した耐水・遠距離狙撃の改造がなされている。



「・・・5、4、3、2、1・・・!」



しかし、彼らの銃の引き金が引かれる事は無かった。
彼らの予期すらしていなかった、巨大な存在がやって来たからだ。



・・・アアアウン・・・



「何だこの海中の揺れは、狙いが定まらない・・・!」
「お、おい・・・ここ、なんかおかしくないか?」
「確かに、何かが来そうな・・・」
「怯むな!計画完了まで目前だぞ!ここで撃たずに何処で・・・」



・・・グァアア・・・!



「いっ・・・今、こっ、声が・・・」
「隊長!やっぱりここは何か・・・!」
「構うな!構わず早く・・・う、うおおっ!!」
「「「「うわあぁぁぁぁぁぁ!!」」」」



突如発生した強烈な海流はテロリスト達を飲み込み、叫びと共に海の底へと送り去って行く。
だが無論、海上では台風は愚か、風一つ吹いてはいない。
まるで、何かが海の中を通り過ぎた様に・・・





「な、何だあれは!」
「う・・・海から・・・海から・・・!」



同刻、ダウガ発電所では外に出た職員達が驚きの声を上げながら海を指差していた。
それもその筈、海には何百mもありそうな水柱が立っていたからだ。
そしてその中から現れた存在は、見る者の全てを恐怖させた。



「あっ、ああっ・・・!」



グァアアアアアアウン・・・



再び現れた黒い災厄・ディラはその後ダルガ発電所を破壊し、アトランティス中に一時的な停電を起こした。



グァアアアアアアウン・・・



更にディラは眼前にあるもの全てを破壊し、アトランティスを進んで行く。
停電の影響でディラの出現情報に遅れが発生し、駐在する部隊も出撃準備が整う前にディラの熱線によって全滅してしまう・・・と言うのも少なくなかった。
無論の事、手際良い部隊が出撃出来たとしても、ディラの前では時間稼ぎにもならなかったのだが。



グァアアアアアアウン・・・
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