ゴジラ0‐一万二千年の記憶‐







それから彼らは『兵器』製造の為、研究所の地下にある極秘製造室に通い続ける事になった。
エンルゥは所長としての仕事をこなしながら所員達と兵器の機体を作り上げていき、サイワは製造室に寝泊まりし、伝達装置を作っていた。
しかしながらサイワ達は機械の製造は初めてであり、所員の協力を得ながら少しずつ装置を完成させていたが、とても順調ではなかった。



「次は、その電線をこの端子に繋いで下さい。」
「お、おう。」
「ち、違います!電線はこちらへ繋いで下さい!」
「す、すまねぇ。」
「それからこれをここへ填め、その上にこの蓋を重ねて固定して下さい。」
「よし、こうだな・・・それでこうして・・・!」
「あっ!そんなに強く力を入れては!」
「おっ?」



所員が慌てる間にもサイワが付けようとしたカバーは力が入り過ぎ、真っ二つに割れてしまった。



「うあぁーっ!こんなの出来るかぁー!」
「ああ、また新しい部品が必要に・・・」
「おい、ちょっと外行って来る。」
「えっ、まだ終わって・・・」



苛立ち気味なサイワは所員の言葉を無視し、製造室を出てしまった。






「ったく、機械って奴はなんでああもごちゃごちゃなんだよ!それに比べたら、遺伝子はほんと綺麗に整頓されてるよなぁ・・・」



研究所を出たサイワは愚痴を溢しながら外をふらついていた。
ラピュタの街は相変わらず平和であり、人々は生き生きとしている。



「平和ってのは、本当にいいよな・・・んっ?」



やがて街の郊外にある湖に着いたサイワは、そこで水面を見つめる1つの影を見掛けた。



「よっ、少年。」
「どうも・・・」



そう、ゼマだ。
彼の目もまた、変わらず絶望に覆われている。



「確かに『兵器』の正操縦士のお前は毎日暇かもしれねぇけど、そうやって暇潰ししてるなら製造室に来て作業の一つも手伝ってくれねぇか?どうもオレ、ああいう系は苦手でさ・・・」
「・・・考えておきます。」
「おいおい、若いんだから働こうぜ?お前は昔から機械なら何でもこなせるんだし・・・」
「言うな!」
「!」



塞ぎ込んでいたゼマが、突如激昂した。
絶望に満ちた目からは、怒りの眼差しが向けられている。



「・・・申し訳ありませんでした・・・」
「い、いや、オレが悪かった。ほんとにすまねぇ・・・」



再びゼマは塞ぎ込み、湖を見つめた。
何かを思い当たる事があるのかサイワの顔は珍しく固く、そのままそっと湖を去る。



――そうだ、あいつは好きでああなったわけじゃなかったな・・・
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