ゴジラ0‐一万二千年の記憶‐
グァアアアアアアウン・・・
ムー大陸のある巨大集落に響き渡る、おぞましい鳴き声。
集落は炎に包まれ、その中を黒い巨獣がゆっくりと歩いて行く。
重厚な体、長い尾、天を突く鋭利な背鰭、王冠を付けた様な頭部に意思が感じられない狂った瞳。
「化け物が・・・化け物が来るぞぉ!!」
「ど、どけぇ!逃げられねぇだろっ!!」
「うわああああん!!」
抵抗の術を持たない人々はただ黒い獣から逃げ惑う事しか出来ず、生まれ育った集落を去って行く。
この世界には約20mはある大きな獣「ジラ」が存在するものの、背後から迫って来る黒い獣はその比では無い。
「撃てーーーーーーっ!!」
人々の横からは象の形をした「岩塊砲」の部隊が黒い獣へ向かって爆発性のある岩塊を発射していた。
今で言う自衛隊の戦車による砲撃だが、目の前にいる黒い獣には全く通用しておらず、黒い獣は更に進撃を続ける。
「た、退避ーー!!」
移動速度も黒い獣の方が早く、砲内に搭乗する兵士達は続々と砲内から引き上げて行き、獣の進路上にあった岩塊砲は一機残らず踏み潰された。
もはや誰も、黒い獣を止める事は出来ずにいた。