ゴジラ7・5‐追憶‐
ビィグォァァァア・・・
その頃、外ではアイヴィラが内部から爆発を起こしていた。
周りの蔦は全て勢いを失って倒れ、アイヴィラの体も崩壊寸前にまでなっていた。
「瞬・・・!」
志真もただ、アイヴィラの体内へと消えて行った瞬を無事を心配する。
しかしその心の底では、絶望的な結果を信じつつあった。
「なんで・・・なんで、お前まで馬鹿するんだよ・・・!いつも俺を馬鹿にする癖して、お前まで馬鹿になってんじゃねぇよ・・・!」
と、その時爆煙を裂いてアイヴィラの中から何かが現れた。
至る所に煤が付きながらも白銀色に輝くその機体・・・そう、むささびだ。
「瞬!・・・ほんと、この馬鹿野郎が・・・!」
グウィウウウウウウン・・・
瞬の無事を悟ったバランは口を大きく開くと口内に空気を凝縮し、圧弾を撃つ準備をする。
林を揺らし、通常以上に吸収された空気は激しく渦を巻いて巨大な弾丸となる。
ヒィヴァァァァァン・・・
バランが準備をする隙を狙い、アイヴィラは全ての蔦を二つに固めダブル・アタックを放つ・・・が、その蔦はゴジラの熱線によって阻まれる。
そしてバランは力強く足を踏み締め、真空圧弾を発射した。
通常の二倍はありそうな弾丸はアイヴィラの最後の抵抗である蔦の盾を安々と粉砕し、アイヴィラの核を貫いた。
ビィグォァァァア・・・
アイヴィラは断末魔の悲鳴を上げ、欠片も残らずにバラバラに砕けて行った。
一方、むささびは無事に志真の前に着地し、コクピットからは瞬が出てきた。
「どうした?取材か?」
「そんなんじゃ、ねぇよ・・・」
「泣きそうだな?何かあったのか?」
「さっきまで・・・感動的な小説を見てたんだよ・・・」
「そうか。ならそういう事にしておこう。」
「なんだよ、そう言う事って!相変わらずふざけやがって・・・!」
「・・・無事に、帰って来たぞ。」
「・・・お疲れ。」
握手の代わりに互いに軽く拳をぶつけ合い、信頼を確認する2人。
するとその時、ひらりと空から赤い花弁が落ちて来た。
瞬はそれを掌で受け止め、まじまじと見る。
「これは・・・花弁?何故こんな所に・・・?」
そう言う間にも空からは花弁が落ち、その数は段々と増えていく。
「何だろうな、これ。でも凄い綺麗だな・・・まるで、楽園にいるみたいだ・・・」
「楽園・・・はっ!」
ふと、志真のその言葉に何か思い立った瞬は空を見上げた。
空からは相変わらず花弁が落ち、それはまるで雪の様になっていた。
「これは・・・これこそが『アイヴィラ』・・・」
「んっ?何だ?」
――ようやく、本当に花を咲かせたか。
父さんがずっと探し求めた『楽園に咲く平和の花』、アイヴィラよ・・・