ゴジラ7・5‐追憶‐
――志真、まさかお前までも・・・
志真と妃羽菜、これで「力」を持っていないのは俺だけか。
・・・だが、俺にはこのむささびとバラン、そして消えぬ知恵がある!
そして今、それを証明しよう!
意を決した瞬はレバーを深く倒し、むささびを最高速で加速させてアイヴィラへと突撃する。
「むささび、って事はあいつ・・・!ゴジラ!瞬を援護してやってくれ!」
ゴジラは志真の言葉に応えると、その溢れる力を熱線に変えてアイヴィラに蔓延る蔦を滅す。
グァウウウウ・・・
その目に向かって来るむささびが見えたバランも何とか立ち上がると皮膜を広げて瞬時にアイヴィラの前に移動し、渾身の念動波をアイヴィラに浴びせる。
猛烈な強風はアイヴィラの動きを止め、巨大蔦を打つ余裕を与えない。
「バラン、俺の追い風になってくれるのか・・・ならば俺はそれに乗り、それ以上の風になる!」
更にレバーを押し込み、限界までむささびを加速させる瞬。
音速の風となったむささびは瞬の決意と共に眼前のアイヴィラへと向かって行く。
――やはり、ただ核を突くだけでは駄目だ。
そう、至近距離から確実に核を撃つ!
ヒィヴァァァァァアン・・・
だがその時、アイヴィラは強風の中無理矢理ブレイカー・アイビーを打ち出した。
巨大蔦は少し不完全な形状ながらもむささびに向かい、むささびの右前翼を破壊する。
その直後、ゴジラの熱線で巨大蔦は折られたが、分離した蔦はしつこくむささびを追う。
「この程度で俺は・・・退かんぞ!」
前翼を破壊されてバランスを失いながらも瞬はアイヴィラへと突っ込み、蔦を撒いてアイヴィラの口から体内へ侵入した。
「・・・」
何も見えない暗闇の中、瞬は父・萋の姿を幻視する。
その顔は浮かない顔付きをしていたが、それは萋の意思もまたアイヴィラの体内に捕らえられていたからだ、と瞬は思った。
――・・・父さん。今、俺が楽にしてやるからな・・・
その言葉に萋は笑みを浮かべ、背後から射す光に消えて行った。
「アイヴィラ、これが正真正銘の、お前の最後だ・・・!」
瞬はレバーのボタンを押し、光へとミサイルを撃った。
そしてその直後、辺りは凄まじい光に包まれ、瞬はそれに呑まれていった。
――・・・『Q.E.D』、証明終了だ。