ゴジラ7・5‐追憶‐







同刻、予断を許さぬ状況である郊外に志真の尋ね人が到着していた。



ディガアアアアアアオン・・・



「この光線・・・やはりお前か、ゴジラ。」



そう、ゴジラだ。
到着ざまにアイヴィラの蔦を熱線で攻撃し、ゆっくりとこちらへ振り向くアイヴィラを睨む。
アイヴィラもまたゴジラの姿を確認すると、まるで瞬とバランが見えていないかの様に前方のゴジラへ意識を集中させる。



グルルルル・・・



何処か異常な程に互いを睨み合う、ゴジラとアイヴィラ。
その光景を見る瞬の脳裏に、微かな違和感がよぎった。



「あの二体、何かおかしい・・・?」



ディガアアアアアアオン・・・



ゴジラは咆吼を上げると睨むのを止め、背鰭を青く光らせアイヴィラへ熱線を放つ。
アイヴィラは自分の前方に複数の蔦を絡ませ、蔦の盾を作って熱線を阻止するが、熱線を受け止めた盾は一度で燃え尽きてしまう。
そこを狙ってゴジラは更に熱線を放ち、アイヴィラに大打撃を与える。
だがアイヴィラの燃える体はすぐに再生を始めていた。
ゴジラは三度熱線を放とうとするが、突如右から突っ込んで来た何かに引っ張られ、阻まれた。



グァウウウウ・・・



ゴジラを阻んだのは、何故かバランであった。
自分の攻撃を阻んだバランに怒るゴジラだが、二体が離れたその直後、地面から尖った蔦が突き出して来た。
蔦は向きを変えて二体を追尾するが、ゴジラを地面に降ろしたバランは岩流を放ち、蔦の根元を破壊する。
バランがゴジラの邪魔をしたのは、この攻撃を読んでいたからだったのだ。



「なるほど、冷静に対処したと言う事か。」



策略を防がれたアイヴィラは急いで蔦を再生しようとするが、その前にバランの棘を食らった。
そしてアイヴィラがほんの僅かに動きを止めたその隙を突き、バランは真空圧弾を撃った。
弾丸は本体を守る蔦をも突き抜けてアイヴィラに直撃、その蔦の体は弾け飛ぶ。



「僅かでも細胞が残れば再生してしまう。だからこそ、これで終わりにする!」



瞬はバラバラになったアイヴィラに接近し、至近距離からミサイルを連続発射した。
数十ものミサイルは全てアイヴィラの破片に当たり、破片を粉砕する。
ゴジラもむささびが離れたのを見計らって熱線を放ち、破片を滅した。



「これで、終わりであってくれ・・・」



燃えるアイヴィラを見ながら、願いにも似た言葉を呟く瞬。
破片の方も燃えたまま、再生する気配は無かった・・・が、炎の中から発せられた鈍い光が、希望を打ち砕いた。
光と共に現れたものは、アイヴィラの核だった。
核は更に強く光ったかと思うと、微小ながらも残っていた破片を吸収し、新たなる細胞を作り出す。
瞬く間に生まれる細胞は三度何かの形態を成していくが、その形状はこれまでとは全く違う形であった。



ヒィヴァァァァァアン・・・



蔦が複雑に絡み合うに長い胴体、巨大で華奢な翼、爬虫類に似た尖った顔。
おびただしい蔦を蔓延らせるそれは、まるで竜の様であった。
そして、精神が疲弊した瞬に突き付けられた目の前の光景は、彼に絶望しか与えなかった。



「馬鹿な・・・お前は、何処までも俺の前から消えないのか・・・俺から、全てを奪うまで・・・!」



絶望の中、瞬の脳裏は再び過去へ戻って行った。
彼にとって、決して忘れらない忌むべき部分へと・・・
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