ゴジラ‐世紀の大怪獣‐
翌朝、伊豆諸島・八丈島の船着き場は漁に出る漁師達でごったがえしていた。
「よし、そろそろでっか!」
「あいよ!」
「・・・そいえばワシらの前に出たあいつ、どうした?」
「連絡がねぇけど・・・どうしたんだろうな?」
「おおーい!沖から船が帰って来たぞぉー!」
その時、沖の方から一隻の漁船が来た。
漁師達は一斉に船着き場へ向かうが、漁師達の目の前で漁船は突如起こった海面の隆起に巻き込まれてしまった。
その間にも海面は隆起を続け、巨大な水柱となる。
「海が、海が盛り上がってくぞ!」
「船が・・・船が!」
「うっ、海ぼうずだぁ!」
と、その時水柱が動きを止め、巻き込まれた船も海に落ちていった。
それと同時に水柱が少しずつ海へ引いていく。
水柱の中には、黒い何かがいるようだ。
「あっ、あれ・・・!」
「あ、ああっ・・・!」
そして水柱から姿を現したのは「怪獣」だった。
ディガアアアアアオン・・・
五十m以上はある黒い巨体、背中に鋭い背鰭を持ったその怪獣は船を掴むと、少しずつ島に迫って来た。
「かっ・・・怪獣だあああああっ!!」
「こ、こっちに来るぞぉ!!」
「逃げろぉぉぉぉ!!」
漁師達は一目散に船着き場から逃げ出して行った。
だが怪獣は船着き場に船を置くと、そのまま何もせずに海へと去った。
同刻、千葉県・愛宕山の山道を猟師が満足げな顔で歩いていた。
手には沢山の茸が入った網がぶら下がっている。
「大量大量!こりゃいいぜぇ・・・」
しばらく道なりに進んでいると、やがて行き止まりに差しかかった。
だが、長年この山に入っている猟師にとってこの行き止まりは全く見覚えが無く、山肌と明らかに色が違う。
不信に思った猟師は猟銃を取り出すと、行き止まりに向かって撃った。
が、弾は何故か跳ね返り、逆に猟師に向かって返ってきた。
「わあああっ!!」
うずくまったおかげで間一髪弾は当たらなかったが、起き上がった猟師はただ驚くばかりだ。
――いっ、行き止まりが弾を跳ね返すなんて、聞いた事ねぇぞ・・・
と、その時山に凄まじい地震が起こり、再び猟師はうずくまる。
しかし地震に紛れ、この付近を巨大な何かが動いていた。
そしてそれが動きを止めた時、嘘の様に地震が治まった。
「な、何だいった・・・ひっ、ひいいいっ!!」
猟師は再び起き上がろうと上を向いた瞬間、猟師は恐ろしい形相をして再び地面に倒れ込んだ。
猟師の目前にいたのは、奇妙な行き止まりの正体・・・その80mはあろう巨体、鱗状の皮が被さった背中に並ぶ鋭い棘に長い尾を持った、赤褐色の巨大生物。
・・・そう、数日前に調査船『らく』を沈めた、あの怪獣だ。
グウィウウウウウン・・・
「や、やっ、やっ・・・山が動いたぁぁぁ!!」