ゴジラ7・5‐追憶‐







「はっ・・・」



瞬の意識は、そこで現実に戻った。
すかさず外を見てみると爆発はもう爆煙となっており、蔦は動きを止めている。
だが、なおも瞬は不安を拭い去れなかった。
その証拠に煙が晴れてみると、茎の体こそ大半が消し飛んでいたが、その中央の核はまだ発光を続けている。



「そうだ、お前はその程度で駆逐されてはくれない・・・」



すると核の発光が増したと共に残った体の部分から蔦が広がり、消し飛んだ部分がみるみる内に再生していった。
更に核の明滅が激しくなったかと思うと、突如植物の体が激しく収縮を開始した。



「なっ・・・!?」



瞬が驚愕する間にも植物の収縮は止まらず、大きく縮んだ後に勢い良く肥大化した。
それと同時に植物の体から大量の蔦が溢れ出し、絡み合いながら何かの型を形成していく。
そして植物が再び動きを止めた時、植物の形状は大きく変わっていた。
形状を留めている胴体はより網目を増し、その下部からは別の胴体と足に似たものが、両側からは先端が二分かれした手の様なものが生えている。
そう、それはまるで人間だった。



「まさか人間の遺伝子を・・・!お前は平和の象徴の花では無かったのか・・・アイヴィラ!」



アイヴィラと呼ばれたその植物は、瞬の言葉を無視して背中に生える無数の蔦をむささびへと差し向けた。
瞬は先程と同じく蔦をかわしていくが、速さを増した蔦は執拗にむささびを追い詰める。



――少しでも気を抜けば、やられる・・・!



ショットガンなどで蔦を抑えつつ、瞬は再びアイヴィラの核を狙ってミサイルを撃った。
一直線に飛んで行くミサイルを蔦の壁が阻止するが、上空からの第二群がアイヴィラの胴体に全弾命中した。
森はまたもや爆煙に包まれ、アイヴィラの姿はすっかり見えなくなる。
それを狙って瞬はむささびを煙の塊へと進ませ、爆雷で蔦を爆破しながら煙を晴らした。



「・・・くっ!」



だが、瞬が見たのはミサイルを受けても原型を維持し、直ぐ様大破した部分を再生するアイヴィラだった。
アイヴィラは正面から向かって来るむささびに気付き、両手を広げて二又の先端を叩き付ける「ダブル・アタック」を繰り出す。
その双撃を急上昇して何とか回避するむささびだが、今度は背後から蔦が迫っていた。



「なに・・・!」



ドコオオオオン・・・



だが、その後方から飛んで来た真空の弾丸が蔦を殲滅した。
覚悟を決めていた瞬は一体何が起こったのか分からず、間一髪助かった安堵感と共に頭には助かった事への疑問が浮かんでいた。
そして後方へ向きを変え、瞬はその理由を理解した。



「ふっ・・・またお前に助けられたな。」



むささびの前にいた者、それは逞しく皮膜を広げるバランの姿であった。



グウィウウウウウウン・・・
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