ゴジラ7・5‐追憶‐







2011年・5月、群馬県・太田市の世良田東照宮へ2人の若者が向かっていた。
背中に大きめのリュックを背負っている所を見ると、どうやら遠くから来たらしい。



「あれが世良田東照宮・・・実際に見ると写真とは全然違うよな。」
「ああ。なんていうか、こう威厳が・・・」



と、その時東照宮の辺り一帯に地震が起こった。
若者達は足元がふらつきながらも何とか地面に踏み止まるが、東照宮に目を向けた瞬間、信じられないものを目撃した。



「あっ、あれは・・・」
「つ、つっ、蔦!?」



そう、東照宮の下から緑色の無数の蔦が現れたかと思うと、立派に聳える寺院を破壊したのだ。
恐怖を覚えた若者達は、腰が抜けながらその場を抜け出した。






それからしばらくして、太田市郊外の林の上空を瞬が駈るむささびが飛んでいた。
むささびの至る箇所には修復された跡があり、3ヶ月前の対カイザーギドラの傷跡を物語っている。



「最後に報告があったのは、この辺りだな。」


――しかし報告にあった奇妙な蔦・・・まさかな。



するとその時、瞬の目に不可解な光景が広がっているのが見えた。
林の中に、明らかに他の木や蔦と異なる色と大きさの蔦が、木々に絡まっていたのだ。
その範囲も、数百mはあろう広さだ。



「これは一体どうなって・・・はっ!?」



更に蔦の中心に目を向けた瞬だったが、その直後・・・彼の顔はこれまでに無い程に動転した。
操縦桿を握る手は震え、体中に冷や汗を欠き、何よりも目は怯えにも近い感じで大きく見開かれている。
瞬が見たもの、それは林に深く根付く巨大な植物だった。
縦状に絡まった籠の様な体、その周りを囲む長い蔦、体の中から鈍く光りを放つ核。
何処か無機質さを感じさせる全貌は、意思があるのかも分からない。



「・・・何故だ。何故、お前が・・・!」
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